これから定年退職を迎える方に向け、退職までにやっておくべき事、退職時の注意と退職後の手続きなどを書いてみたので参考にしていただければ幸いだ。
少しボリュームが大きくなってしまったので、記事を2つに分けてある。
2021.02.18追記:「その2」を書いてみたら長くなってしまったので実際は3つの記事になりました。
先ず、題名としても書いたが、定年退職を「計画」し「実行」する、というイメージを持っているかどうかで随分と結果が違ってくると思う。
どういうことかと言うと、定年を「受け入れる」という姿勢で待ち、期日が来て総務部から連絡が来てから動く、というタイミングでは間に合わないことも多いからだ。ルールや制度があるのに、連絡が来た時点では対象から外れてしまっている、など手遅れになることがある。
また、退職後の生活についてイメージを作る事も必要だ。
私の先輩も退職後再雇用で勤めてしばらくしてから、早期退職の優遇制度や、持株会の株式は現金に換金しなくても株式のままで受け取ることが出来る事などを知ったと言っていた。もちろん彼の場合は再雇用を選択したわけだから早期退職の制度は関係なかったのだが、株式に関してはその話をしていた時点で17%も上がっていたから随分ともったいないことになったと思う。
私の会社の早期退職者への特別退職金制度の場合だと、55歳から対象で基本給の48ヶ月分、その後1歳毎に12ヶ月分づつ減っていき、57歳のうちに退職していれば24ヶ月、58歳は12ヶ月、59歳になってしまうと特別退職金は出ない、というようになっていた。
私は58歳と5ヶ月の時に退職したので12ヶ月分だったが、あと半年早く退職していれば倍の24ヶ月分を受け取ることが出来たというわけだ。
当時、そろそろ上長に退職の申し出をしようとしていた頃、職場の担当業務が大幅に拡大され、私の仕事もそれまでの一人から2名体制の業務量となるということで増員が予定されていた。だから異動してくる方に仕事を指導しなくてはならず、その時には退職のことは言わずやむなく半年後にしたのだ。
その後実際には増員はなく、私のこの判断は空振りになってしまったが、制度を知った上での自分の判断だったから、まぁ仕方がない。
以前も書いたが私の場合は55歳の時に早期退職すると決断し、職場異動も含めて退職までをほぼ考えた通りに進める事ができた。
箇条書きにするとおおよそ以下の通りだ。
55歳:早期退職を決断し会社規定を調べ把握し始める
56歳:役職を下り職場異動,会社の退職者向け研修
57歳:退職時期を見定め、実際の退職日を決心。
58歳:上司に相談の上で3ヶ月前に会社に申請し、退職
私自身は、上に書いた通りに実際より半年か1年早くしていれば、退職日がコロナ禍の最中にならなかったし、特別退職金も1ランク高かったし、投資を始めるのも半年早ければまた違ったな、と少し後悔しているが、それはもう元には戻れないので、何度も書くがこれは仕方ない。
また、以前の記事にも書いてこれもくどくなるが、ローンや借金が残っているのなら早期退職はしないでおこう。再雇用で続けて勤めるか、もし再雇用で勤めるより有利な職があればそこで働く。
再雇用になって責任が少なくなるので、毎日定時退社し家で副業をやるなどして出来る限り多くの収入を得ることを考える。
退職金は、負債の完済にまわすことも悪くはないとは思うが、それよりも投資信託などの手堅い投資にまわして温存するのが得策だと思う。
ここまで書いたように、定年退職にはしっかりとした「計画」が必要だ。しかしOODAの記事にも書いたように、初めてのことなのでいきなり計画を作ることは出来ない。計画する前に調べておかなければならないことは多い。
第一に先ずは状況観察。既に書いたように私は55歳からスタートを掛けた。
会社規定を読む。例えば定年退職日は何日なのか?は会社によって異なる。
私の会社は「誕生日を迎える月の月末」だった。企業によっては「誕生日をもって最終日とする」とか「誕生日を迎える月のXX日」など様々なようだ。
これは一番最初に調べるといい。その規定の近くには手続きなど関連することが書かれているだろう。
会社の定年退職者向け研修の開催時期を確認する。
会社によっては、定年退職社向けに研修会を開いてくれる。私の会社も横浜の古いがちょっといいホテルの会議室を借り切って一泊二日の研修があった。
お金のことや運用、健康維持の方法は知識だけでなく外部のトレーナーの方が来て体操など実技研修になっていた。それから介護についても介護保険の制度について説明があった。
夕食はそれほど豪華ではない、というかどちらかと言うと質素だったが、社内の同じ年齢の社員が集まるので話に花が咲いて楽しかった。
退職金の受取り方は一括にするか年金制度で受け取るか。特別退職金の制度はどうなっているか。早期退職が自分にとって有利かどうか。再雇用で勤める場合はどの職場でどういう仕事になるのか、年収はどのくらい減ってしまうのか。団体定額積立や団体保険、会社斡旋で既にiDeCoに加入している場合はその移管手続きはどうなるのか。労働組合の積立金は退職時にどのように処理されるのか、どのくらい手元に戻ってくるのか。などなど
退職前後の公的な手続きや支払いはどういうものがあるのか。雇用保険、年金の切換え、健康保険、地方税の納付、確定申告、年金はいつからどのくらい受け取れるのか。また、年金は何歳から受け取れるのかは御自分の生まれた年によって異なるので確実に理解しておかなければならない。
退職後は家の中に自分の居場所はあるのか。家での一日はどう過ごすか。家族との関係はどうなりそうか。生活費のアテはあるか。退職金など大きな資金はどのように管理するのが良いか。年金を受け取る年齢までの生活費はどうするか。など
家族との話し合い。反応はどうか、反対はされないか。
さて、このように極力多くの情報を得た上で、退職時期、再雇用で働くかどうか、そもそも働くのかどうか等いくつかのケースを想定し、それぞれの場合の良し悪しを考えてみる事だ。
ここまで考えてから最終的に決断を下すのは、退職日よりも1年以上前。出来れば数年前に決断し、それからは常に退職日を腹に持っておくと良いだろう。
決断したら実行だが、その実行のためにはやはりそれなりの計画が必要だ。
次回「その2」では、私自身の例を基に、計画と実行について記してみる。
2021.02.18:「会社の定年退職者向け研修」についての記述を追記しました。
-----
私のもう一つのブログ「50歳からの単独行」も、是非御覧ください。
50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
こちらからどうぞ↓
https://tomo1961.hatenadiary.jp/