もう何度目か、再雇用についてまた書いてみたので、もしよければお付き合い願いたい。
先日、このブログの水曜日の記事として書いてきたものに大幅に加筆し、AmazonのKDPプログラムを利用させてもらって、以下の書籍を販売している。
この本を執筆するに当たり私の立ち位置は「再雇用で雇われ続けるなんて、まっぴらごめんだぜ」であり、実際に本文の中にそう書いた。
しかし実際には、私はこうして早期退職してしまっているので、自分では再雇用の「現場」を経験していないのだ。
だから一見「経験していないことを断定的に書いている」というまずい関係になっている。
本文中でも「再雇用で継続して働くのは不利」というような事を書いたのだが、どうしてこの様に断定的に書くことが出来たのか、について明かしておきたい。
私が最後に世話になった職場は、買い入れ品の品質保証と受付検収検査という大きな2つの機能を持っていた。
従って、課長以下、係長が1名と品質スタッフが4名、あとは検査員で人数は流動的だが、6〜7名だった。小さな職場だ。
私はそれ以前の職場では長として仕事をしていたのだが、65歳を過ぎて役職定年となり、異動してきて早期退職まで品質スタッフの一人として働いていた、というわけだ。
そして、机を並べて仕事をしていたのが、3つ年上の大先輩。
人柄が良く、ある分野の部品については事業場(1,600名在籍)でもトップ3くらいに入る技能者であり、その道の経験も豊富だ。
私がその職場に異動になったその日が、その先輩の再雇用者としての出勤第一日目だったのだ。
話の途中だが、書籍を執筆中のネット取材で見つけた一つの記事を、ここに紹介しておく。面倒でもざっと斜め読みをしてから戻ってきて欲しい。
その先輩もこの記事の勝ち組に属する人材だから、実際にも勝ち組になるはずだったし、実際にこの記事の定義なら勝ち組だと言っていいだろう。
しかし...
机を並べているので、仕事中でもいろいろな話が出来た。
ちなみに、その机の並びだが、私がその当時57歳、技能者の先輩が60歳で、私の左隣。
正面に二人いて、その一人は当時58歳の、私の高校の先輩(田舎だねぇ)で、もう一人は56歳。
4人共頑固親父とは程遠く、達観を超えていつも笑いが絶えず、ご機嫌で仕事をしている、大変居心地が良い職場だった。
だから、おじいさんの巣窟のような職場にも関わらず、皆人当たりがいいし、それぞれ技術と経験が豊富だから、なにか問題があったり不安があれば、ここに来ればだいたい解決する、という信頼は高く、「〜教えて下さい」と、特に若い子が毎日頻繁に来ていた。
私達もおじいさんの域だから、孫くらい若い子達が、少しくらい「わかりきったこと」を聞いてきても気にせず、一から十まで出来る限り丁寧に教えてあげていた。
それに若い子と話をするのは、我々おじい際たちは嬉しいからねぇ
くだらない前置きが長くなってしまった。
そういうわけで、私はその大先輩の再雇用第一日目から2年間を観察させていただくことが出来た、というわけ。
最初のうちは、大変にモチベーションも高く、一方で責任はなくなっているので肩の荷が下りていて、元々人柄が良い人だがさらに丸くなって、しかし能力はそのままで、私自身その先輩を見ていて、一瞬「再雇用も悪くはないのかな?」と思ってしまったほどだった。
だが、大きな変化はすぐに訪れた。
それは最初の給与支給日だった。
再雇用者は月末締めで給料日が15日になっていたので、4月1日が再配属だったから、翌5月15日の事だ。
私達の給料日は25日なので、その日は全く気にしていなかったのだが、突然先輩がこう言ってきた。
「tomoくん。俺の給料半分以下になっちゃったよぉ」
どうも先輩は、再雇用後の給与形態などをあまり良くわかっていなかったらしく、かなりショックを受けていた。
「俺まだ借金があるしさぁ困ったなぁ」と言う。
私もなんと答えてよいのかわからなかった。
苦し紛れに出たのが「へぇ再雇用ってそんなに減っちゃうんですか?」だけだ。
翌日からの先輩の、なんというか覇気の変化は忘れられないな。
やる気を失ってしまって、一時は亡霊のようにも見えるくらいだったね。
それでも、数ヶ月で元には戻ってくれたんだが、ちょっと業務が詰まってきて忙しくなると、
「オレの給料って半分なんだよなぁ」とぼそっと、私にだけ聞こえるように言うのだ。
もともと明るい人柄なだけに、その瞬間はまるでホラーだった。
話はここまでだ。
如何に、上にリンクを付けた記事が陳腐で表面的なものかがわかるだろう。
そういうわけで、私は再雇用については全く良い印象を持てない。
そもそも、同一労働同一賃金から大きく逸脱してしまうのだし。
もし、再雇用制度のポジティブな見解を持っている方がいるのなら、是非コメントをいただきたいです。
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今日の一曲
「それでも好きだよ」指原莉乃
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