退職後は何かに挑戦してみたいと思っている方は多いと思う。
以前の記事で、メーカーなど企業に努めていた人にとっては世間はそれほど厳しくはないと書いた。
しかし、一方でズレた方向に向かって邁進してしまうのも、また企業出身者なのである。
メーカー系にいた方々は、何かを進めるにあたってPDCAのサイクルを回してゆけば物事はうまく進められる、と思ってはいないだろうか?
そもそもPDCAって何?という方はネットでググってから出直してきていただくとして、多くの企業人だった方はご存知だと思う、あのISOでも推奨している(た)手順だ。
しかしどうだろうか?本当にPDCAが額面通りに機能して物事がうまく行った、という体験をお持ちの方はいるのだろうか?少なくとも私にはうまく行った(回った)という記憶はない。
そもそもPDCAというのは欠陥システムだと思う。何故か書いてゆこう。
Plan
Do
Check
Act(ion)
計画して実行して結果や成果を確認し(次に繋がる)行動を起こす。
というサイクルをぐるぐる回してゆくと螺旋状に上に上がって行ける、という考え方だが、だいたい普通は実際に取り組もうと思う最初の段階で挫折し、有識者なりやり手なり良い上司なりが手助けしてDoのステップに強引に放り込んでいるのが実情ではないか?
そうなると単に、打ち合わせ又は指導を受けて、それを計画化して実行しているだけだ。普通の最低限の業務進行手順だ。
当たり前といえば当たり前で、最初のPlanのステップで先が見えない事に対して正しく包括的な計画を策定するなんて、普通はできないからだ。PDCAがうまく2周めに入り2回目のPlanの時なら計画を作ることは出来るのだが、余程難敵で無い限り2周目のPDCAに突入してさらに回していく、というところまで運用しないのが実際ではないだろうか?
私がPDCAは欠陥システムだという理由はこの2つにある。
・最初のPlanが策定できない又は不完全な計画で見切り発車となることが多い。
要はわからない物事の計画をたてて強引に進んでいるだけ。
・二周目のPDCAサイクルにまで突入して回すことがほぼ無い。
一旦Doが終わればCheckプロセスさえ手を付けずに終えることも多い
もちろん、ルーチン業務の手順を常時良いものにしてゆきたい、というような場合は、それを永続的に改善し続けるわけで、PDCAはとても良いシステムとなるし、そういう用途なのである。そもそも仕事を進めるとかプロジェクト進行の為の仕組み/考え方ではない。要は”作戦”を進行させるにPDCAを使うべきでないのだ。
さてそんなあなたにOODAである。
OODA
なんだよそんなの知ってるよぉという方はもうここで退室いただいても良いだろう。
OODAは、
Observe[観察]
Orient[認識と状況判断]
Decide[決断/決定]
Act[行動]
のループであり物事が集結するまで決して止まらない連続行動である。
また、計画というステップがないので計画しなくてもよいのか?という誤認が稀にあるようだが、DecideとActの間で”計画”という行為と”計画書”が有用であれば作ればいいというだけの事だ。
詳細解説は、書籍に譲るがポイントは、最初のObserveの前の段階では、関係する物事について事前に知っておく必要がないという事。別の言い方をすれば何も知らないまま突入可能にするのがOODAなのだ。
だから最初にObserveステップがある。
注意点はObserveとOrientを同時に行わないこと。これを同時にやってしまうと事実関係と期待が分離できず、間違った決断に至ってしまう。
事実や見えている物事を観察(Observe)し、それを”曲げずに”状況を認知し判断(Orient)を行う。
決断もそうだ。情報などなにかが足りなくて決断ができない場合はOrientからObserveに戻ってやり直すのだ。
また、OODAで物事を動かしていると、自分たちが決断(Decide)ができない人、組織なのかどうかが自認できるようになる。OrientからObserveの間でループしDecideをいつまでも通過できないならその決断できないリーダーを交代させるしかない。
これは日々何をやるにも口の中で”おぶさーぶ、おりえんと、でさいど、あくと”と言いながらやると以外に頭の体操になるし、今まで如何に混然とした思考の下で生活/活動していたかがよく分かるようになる。
もし今日ここでOODAを知った方は、先ずは日常の中で始めてみて欲しい。
こんな簡単な解説ではわからない、という方は上にリンクを付けた中村好寿先生の本を読んでみて欲しい。
先生の最初のOODAの解説書は以下のものだが既に廃版になっている。中古本なら手に入れられるかもしれない。リンクを辿って見てみて欲しい。
但し、OODAがうまく行かないケースがある。それは運用している者や組織のトップに”意志”がない場合だ。それはそうだ、意志がない者がいくら”意思決定”のシステムを用いたところで機能しない。
Decide出来ないのだ。笑えるが会社員時代にはそういうケースを嫌というほど見てきた。
さらに笑えるのは、決断しない人の中には”決断したくない”人が相当数含まれているという事だ。 こうなるともうその彼にはつける薬はないし、そもそもリーダーは決断するのが仕事なのに、どうしてその立場になってしまったのか?不憫でならなかった。
あなたには、こうしたい、こうあるべき、こうなりたい、という”意志”はあるだろうか?
この際あらためて自問してみてはいかがだろうか。
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私のもう一つのブログ「50歳からの単独行」も、是非御覧ください。
50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
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