遭難事故が発生するとSNSなどで必ず書き込まれるのが「単独登山は危険」というものだ。しかしそれは本当だろうか?
長野県警は山岳遭難について、以下のサイトで毎週発生した遭難を掲載してデータにしている。
これを見る限りに於いて言えるのは、単独登山が特に他の登山形態に比べて危険ということはない、という事がわかるだろう。
ざっとこれらのデータを見る限り、単独でなければ助かったのであろう案件は、八ヶ岳南沢で病死した例の1件のみと言ってもいいのではないか?
一方で、滑落に至らなかった「転倒」が全体の1/4を締めているが、「転倒」の殆どは脚の疲れが原因であり、オーバーペースや過負荷がその要因だ。
では、何故オーバーペースになるかといえば、その原因はパーティー登山にあることはほぼ断言しても差し支えないだろう。
単独であればオーバーペースにはならず、常にマイペースだからだ。
もちろん「疲労」が原因で行動不能になった高年齢者の例も散見されるが、これこそ身の程知らずの一言となってしまう。
一方で、特に医学的な知識が豊富でない普通の人だと、さすがに「発病」までは予測できないだろうから、これはある程度仕方ないのかもしれない。
私自身、普段から注意はしているものの、山行中になんらかの「発病」があったらどうにもならんなぁ、とは思っている。ま、そこまで心配すると何も出来ないし、「発病」は街なかでも同じだから山岳地に限らない事だもんな。
さて、さらにデータを読んでみると以下のことが言えそうだ。
・転倒滑落が最も多く全体の1/4を締めているが、その殆どが「難所」と呼ばれているところで発生している。
・滑落の内の1/3は死亡に至っている
・転倒による負傷も全体の1/4を締めている
・行動中の発病が1/5で、内29%が死亡
・道迷いが全体の16%
「道迷い」は地図やGPSは携行していたのだろうか?このデータではそこまでは開示されていないのでわからないが。
あとは、特に気になるのが「滑落」の多くが「難所」で発生しているという事。
では難所とはどういうところかというと、長野県内の山岳地から上げると、ざっと以下のような場所となる。
・ジャンダルム,天狗のコル(穂高連峰)
・ザイテングラード(穂高連峰)
・南岳(穂高連峰)
・北鎌尾根(穂高連峰)
・鋸岳(南アルプス)
・大同心,小同心(八ヶ岳連峰)
・戸隠山(戸隠)
などで、もちろんまだまだあるが、共通しているのは岩場で急峻な場所である、という事だが、このような「難所」で60代以上の高齢者が亡くなる例が、パーティー、単独問わず多いのはとても気になる。
また、北鎌尾根や大同心,小同心のような岩場のバリエーションルートで高齢者が亡くなっている。
私程度の知識でも、なぜその年齢でそこに行くのか?と疑問に思うのだがどうだろうか?
上記のような「難所」というのは一体どういう場所なのか?はYouTubeで、
[大キレット]
とか
[ジャンダルム]
等で検索して動画をご覧になってみることをお勧めする。
心身共に充実している若者でも、息絶え絶えになり余裕がなくなる場面を動画で観た上でご自分の能力を考えて行くか行かないかを決めるべき。
もちろん若い頃からバンバン登っていて経験も豊富で、且つ岩場のバリエーションルートの経験があり自身の体力を冷静に判断でき、場所に合った適切な装備を携行して活用できる、というようなスキルがある方は年令を問わずどこでも好きな所に登ればいいだろうけどね。
では「難所」である事を事前にどのように知ることができるのか?だが、それは簡単だ。
以下の2点に該当している場合は「難所」なので普通の60代以上の登山者は行かないほうがいいと言える。
・登山地図の点線のルート
・「信州 山のグレーディング」の黒(E)と赤(D)のルート
以前の以下の記事に、
「雪山、火山には登らず、メジャールートを基本とし、悪天候は極力回避する」
と書いたがこの”メジャールートを基本とし”が、私としては点線ルートの忌避やグレーディングを基に判断することを意味している。
さらにこれに加えてできる限り、ではあるが万が一のために、
・登山者が多いルート
・登山者が多い日(土日休日など)
を選ぶようにしている。
このようにしてルートや山行スケジュールを選べば、単独登山はパーティー登山より安全で楽しいのである。
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