「その2」からの続きです。
装備は、いくらでも良いものが売っているので、いくらでもお金をかけることが出来る。良い装備は「丈夫」で「軽く」て「使いやすい」ものだが、場合によっては「使いやすい」は満たされていなくてもいい。
特に、中高年の単独登山では、自分で自由に山行計画を作成することが出来るのだから、例えばルートマップの標準時間で2泊3日になっているなら、3泊4日で計画すれば時間的な余裕ができ、装備が多少使いにくくてもなんとかなるし、体力的にも余裕ができる。余裕がある山行は楽しいし、中高年の単独の山行は登山地図の「コースタイム」で計画してはいけない。
私は、コースタイムに1割上乗せした上で、1時間に1度10分の休憩を入れ、さらに山頂の滞在時間を30分以上として計画する。
その上で、事前の情報収集で岩場など難しい所があれば、さらにその区間の前後にプラス10〜20分の休憩時間を追加しておく。
こうすると、自ずと日帰りの登山を計画することが難しくなるので、テントを背負ってゆっくり登るのだ。
しかし装備が重いのはダメだ。どうにもならない。テント泊でもベースウェイトで10kg以下は必須だ。出来れば9kg以下になるようにする。全ての装備をひとつづつ測って表計算ソフトに入力して総重量が9kgを超えないように、やりくりするのだ。
私がテント泊で使っているザックは古いモンベルのチャチャパック35というモデルだが、これは長男が中学の西駒登山のために買ったものなので、ザック単体重量が1.65kgもあり軽量化のネックになっている。
今年こそは軽量なものに新調する予定だ。
40Lだと、モンベルのバーサライトなら710g。同アルチプラノパックなら940g。
[モンベル] バーサライトパック40 1123823 BLBK
バーサライトが軽くて良いのだが、アルチプラノパックは防水でボトルホルダーがついているのでザックカバーとホルダーが不要となり実質60gの差だ。
他のメーカーにも良いものはたくさんあるが、性能の割の価格=コスパを考えるとモンベルに軍配が上がる。
経験では、ベースウェイト11.5kgだった時に総重量で14kg+αだったのだが、この山行では計画で1割加えた余裕時間をそっくりロスしてしまった。だから中高年は体力を鍛えた上で軽量化が重要になる。
軽量化という意味ではまだまだスポーツ店の店員は時流に追いついてきておらず、テント泊というと60リッターのザックを勧めてくるし、調理具も一式買わせようとする。
彼らの言いなりに揃えてしまうとベースウェイトが18kgくらいになる。下手をすると20kgを超えてしまうのではないか?中高年が20kgを背負ったら2,500m以上の山では行動ができない。
私の今年向けの計算では、ザックを軽いものに新調して、テントではなくツェルトを使うようにしてベースウェイトが8.76kgで考えている。
三泊四日分の食料と水が計算上3.8kgくらいなので、一日目の歩き始めの総重量は約12.5kgだから、これでもかなりの負担だ。
だが、食料の重量が毎日1.2kgづつ減っていく計算になり、下山日には9kgくらいになるので、現状に比べればかなり楽になる。
軽量化についてはこの本が参考になるだろう。エマおばあちゃんすごいな。
一気に装備を揃えられる人は山岳関係の専門店か、登山に強いスポーツ店で店員に相談しながら購入しよう。但し上に書いたように店員に”乗せられて”はいけないので事前の情報収集を忘れずに。
少しづつ揃えるなら優先順位順は以下のようにすればいい。
0.GPS(無雪期登山ならiPhoneに無料アプリを入れるだけのもので十分)
1.登山靴
2.ザック
3.登山用のパンツ
4.帽子,グローブなど小物
5.ストーブ,コッヘル
GPSは何よりも優先して入手し操作できるようにしておく。Geographicaなど無料のスマホアプリでも全く問題ない。
慣れてきたら小屋泊を経験し、それからは是非テント泊に挑戦していただきたい。
テントと食料を背負って山を歩き、テントを設営したあとは誰に気兼ねすることなく過ごす。夕刻にはジム・ビームなんかを呑みながら日が落ちてゆくのをゆっくりと眺める。このスタイルで3〜4日間山岳地を歩く。
最高だ。
さて、随分と書き過ぎてしまった。「登山」については引き続き気が向く都度記事にしてゆきたいと思います。
注1)中央アルプスの西駒ヶ岳を”木曽駒ヶ岳”と表記しているパンフレットや小説がありますが、これらはいわゆる”俗称”です。正しくは「駒ヶ岳」または「西駒ヶ岳」です。
注2)南アルプスの東駒ヶ岳を”甲斐駒ヶ岳”と表記しているパンフレットや小説がありますが、これらはいわゆる”俗称”です。正しくは「駒ヶ岳」または「東駒ヶ岳」です。
注3)上記1,2の俗称”木曽駒ヶ岳”や”甲斐駒ヶ岳”の呼称は、どちらも昭和年代の終り頃から平成の初期あたりから使われ始めたようです。
注1〜3についてご注意ください。
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今日の一曲
BABYMETALの2枚目のアルバム「METAL RESISTANCE」に収録されている「Amore -蒼星-」
初めてのテント泊だった八ヶ岳の山行で、オーレン小屋のテント場に泊まった。テントから頭を出して寝転び、満天の星空を眺めながら聴いていた。
下界では見ることが出来ない無数の星の中を、飛行機の光がすーっと抜けて飛んでゆく”絵”が美しくこの曲にあっていたなぁ
「Amore -蒼星-」BABYMETAL
*本ブログに掲載している写真は全てtomo1961又はその家族が撮影したものです。