さて日が空いてしまったけど、ようやく登山の「軽量化」について書いてみたい。
登山関係の前回の記事はこれ。
前回の記事では以下の4項目について事前に知っておくべきですよ、という事を書いた。
1.体力
2.計画(歩行速度)
3.荷の重量
4.危険回避のマイルール
今回論議する「軽量化」は、文字通り上記全てにのしかかってくる問題であり、逆の言い方をすると、荷が軽くなる事によって、全て改善方向に行く。
軽量化によるメリットとは
メリットは上で”全てについて”と書いた通りだ。
軽ければ体力的に楽
軽ければ体力的に楽だから、計画通りに行動できるし、タイトな計画もアリになる
軽ければ体力的に楽なので、危険回避しやすい
単純な例で言えば、軽ければ雨がふりそうなら走って回避できる。
白馬岳に登るのに1日目にゴンドラリフト・イブを降りて、栂池ロープウェイの駅までの間で急な雨が降ったとしても、荷が4、5kg軽ければロープウェイの駅にダッシュで駆け込むことが出来るが、重ければそのまま歩いて濡れてしまい、一日目の泊地である白馬大池まで数時間濡れた状態で歩かなければならない(実話)。
↑コレ、その時のロープウェイからの写真。
その具体的方法とは
私自身もそうだったのだが、登山を始めようと(再開も含む)した時にまず最初に頼るのが以下のような類のサイトだろう。
ちなみに、私はモンベル大好きだしモンベルカードも持っている(ゴールドだゼ)し、登山保険もモンベルで加入している。
だから以下は、こういうサイトに対する非難ではない。
先ず、こういったサイトで持ち物に落ちがないように確認するのは、むしろ良い事だとは思うのだが、実際にこのような”推奨”をそのまま鵜呑みにして持ち物を揃えるとどうなるか?
この記事を書く当たり、あらためて私が実際にやってみた。
持ち物の計量方法は色々あり各自の自由ではあるが、一旦「ウルトラライトハイキング 土屋智哉著」の方法で整理する。
上記書籍では、持ち物の重量を以下の3つのグループに分けて考えている(私の思うに最も合理的な考え方だと思う)。
・身につけている衣服や手に持つもの
・山行中に変化するものの重さ(食料や水など)
・山行中に変化しないもの(上記以外)←「ベースウェイト」
先ず、身につけている衣服などは実際に着てみて動きやすく快適であれば良い。
但しあるきはじめの時点で身に着けずにザックに入れておくならベースウェイトの方に算定する。
食料や水の選定次第でもかなりの重量差になるが、これについては次回の記事に譲る。
従って先ずはこの「ベースウェイト」を如何に軽くするかを考えるが、モノを厳選し且つお金をかける事によりいくらでも軽量化は出来る。
しかし一方で、軽くなればなるほど使いやすさや快適さは失われてゆくので、自分が登山中に許容できる使いにくさの程度と、不快さの程度の限界をどこに置くかということになる。
軽量化を考えるには、先ず手持ちの全ての持ち物を秤で計量し、一覧表にして合計し、その数字を把握する。
軽量なアイテムを購入したり、購入したいものの重量を、その表の上で入れ替えながら検討する、という作業を行う。
先ず上記モンベルのサイトの持ち物リストから、テント泊装備一式について、一般的に店員さんが奨めるであろうアイテムの重量を拾い、私が普段使っている表計算ソフト(MacのNumbers)で作成した「登山持ち物表」に入力してみた。
その計は11.7kgになった。
12kg切っているんだから軽いじゃん?と思われるだろうが、これはあくまでもベースウェイトだから、水を2L持っただけで14kg。さらに食料の重量が載ってくる。
では、私が普段使っているアイテムで計算するとどうなるか?
その計は6.4kgだから5.3kgも軽い。
*どちらにもミラーレス一眼レフの約800gが含まれている。
その違いを大きなところから説明してゆく。
テント
モンベルのテントもグランドシートやポールなど合わせても1.5kg弱、と結構軽く快適なのだが、快適性を少し犠牲にしてツェルトを使う事で一気に1kg軽量となる。
さらにタープのみでほぼ野天泊というハードな選択もあり、そうなると更に軽くなるし、そもそもシュラフは使わずに持っている衣類や雨具を全て着込んで小さな天幕だけで寝ている人を、実際に見た事はある。
宿泊絡みの持ち物は、自分が山でどこまでヤルのか?が試されるところだ。
ザック
ザックも通常1.8kgくらいだが、かなり取り扱いが不便にはなるが軽量のものを使う事によって900g程の差になる。
世の中にはさらにもっと軽いザックも存在するのでググってみるといい。
容量はテント泊行でも、最大で40Lまでにしておいた方がいい。ショップ店員は「テン泊用」と言った瞬間に「では60Lザックですね」というのがお決まりなので、購入時には要注意だ。
私が2016年に北アルプスの三泊四日縦走で使ったザックは、35Lのモンベルのチャチャパックだった。ザック自体は重くて他の軽量化もまだまだだったから重量的にはキツい旅だったが、容量としては何の不便も感じなかった。
*三泊四日北アルプス縦走後JR穂高駅にて私のチャチャパック35L[2016.8.12]
ストーブ
Jetboilなどのガス式(約650g)ではなく、アルコールストーブとチタン製のマグポットを組み合わせ(約250g)る事によって400gの軽量化。
私は山にはクッカーは持っていかない。飯は炊かない、調理もしない。さてどうするか?は次の記事を乞うご期待。
タオル着替えなど
タオルは重く、汗が染み込むと臭うので日本手拭を使う。
着替えを十分に持っていきたいという気持ちはわかるが、綿のシャツは汗がしみると臭くなり且つ重くなってなかなか乾かない。
だから綿ものは一切着用せず、化繊もので統一する。
化繊は軽量で汗をかいても臭くならない(なりにくい)ので、一泊くらいなら着替えは持ってゆかなくても問題ない。
登山前後の移動が公共の交通機関の場合は気になるが、下山後風呂に入れない時には持って行くしか無いが、化繊の下着はそれほど臭わないので、風呂に入れるなら入ってまた着ても問題はない。
実際に電車で近くに乗っていた方なのだが、おそらく全部着替えてきれいにしていたようだが、ザックに汗まみれのタオルを括り付けていて、それが付近に臭っていた事がある。
結局そんなものなのだ。
マイカーで行く場合は着替えを車に置いておけばいいし、帰りがけに温泉施設に立ち寄れば綺麗サッパリだ。
着替え関係だけでも1.5kg程の軽量化が可能だろう。
その他
登山用の水筒は結構頑丈で重く空で150gほどあるが、これを水のペットボトルで代用すると120gほど軽く出来る。
アタックザックやサンダル、中には山の中に傘を持っていく人がいるが、重量増による体力の消耗を考えればナンセンスだということは容易に理解できるだろう。
普通の登山は、荷が最も重い時に登りを歩く事になるから、若い時ならまだしも、100gでも軽くしたいところだ。
道具が揃ったら、登山に行く前に実際にザックにペットボトルなどを入れて背負い、4kg、5kgの差を体感しておくといい。
次回は食料水、燃料など山行中に重量が変化するものの軽量化について書いてみたい。
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今日の一曲
「Yesterday」The Beatles
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
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私のもう一つのブログ「50歳からの単独行」も、是非御覧ください。
50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
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