「その8」以前が未読の方は先ずは一つ前の以下の記事から。
前回に続いてIEについて、今風で「IE 7つ道具」という事で一つ一つ説明と思い出を書いてゆく。
前回でも少しふれたが、なんとなく改善の余地が有る気がする、とか、こうした方が良いように思う、というだけで指示しても、担当者や作業者は困ってしまう。
そう思うのであれば、具体的な指示を出したり、改善案を策定する前に、その「感じ」を裏付ける客観的事実を得ておく必要がある。
また、実際に工程に入り込んで観測を行う前に、最低限その工程のリーダーの理解を求めておく必要があるし、そもそもそのリーダーがIEとは何なのか?について知識がない場合は観測自体始めないほうがいい。
反発を買うだけだ。
そういう場合は事前にIEについての学習会を開催し、出来ればリーダーだけでなく作業者レベルにまで教育を実施しておこう。
どんな場合でも無知は最大の敵だ。
今は「IE 7つ道具」というらしいので、その分類と順序で説明してゆきたい。
毎度だが、基本的な情報は他で得てきてもらってある前提で進めてゆく。
2. 稼働分析
3. 工程分析
4. 作業分析(動作研究)
5. レイアウト分析
6. マテハン分析
7. 事務工程分析
1.タイムスタディ(時間研究)
様々な方法はあるが、作業を構成している各々の動作を「要素作業」に仕分けし現在行われている順番に並べ一覧にする。そして速やかにその「要素作業」毎にかかっている時間を測定する。
作業時間にばらつきがある事が考えられるので、最低限3〜5セットのデータが必要だろう。あまりにもばらつきが大きい場合は、先に「作業分析」の視点でその工程を確認しておくほうが良い場合もあるので、それは最初の予備観測の段階で判断する。
「要素作業」の分類を行うのは特に大切なステップだ。
経験がない人やいわゆる”センス”に乏しい人はこの段階で間違いを犯してしまう。
必要以上に細かく分ける、という側の間違いであれば、後でデータを統合すれば良いが、粗い側の間違いのまま観測を済ませてしまった場合は、後から観測のし直しをしなければならなくなる。
また、作業者は作業に集中しているので、傍らに突っ立っていつまでもモタモタ観測を続けていると、彼らにとっては大きな迷惑だ。
1〜2サイクル観測したら速やかに「要素作業」を分解してリストに記入し、続けて速やかに測定に入り、測定が済んだら(許される場合は)作業者に一言お礼を言ってその場から去り、次の観測対象に移動する。
私が観測をしていた時に、ある作業者だけどうしても測定値がばらつき、挙句の果てに作業ミスを連発してしまうことがあった。
リーダーが駆けつけてきて話を聞くと、彼女は「観測されているとアガってしまい普通に作業ができない」という事だった。
こういった場合は直ちに観測をやめて、VTR法などの別のやり方を検討すべきだ。
IE手法を用いて改善をしようとしているのに、工程に迷惑をかけていては元も子もない。
また、工程に入る前にはざっとそのエリア全体を見て、作業の「動線」を観察しておく事は重要だ。そして観測者は決してその動線上に”突っ立たっていない”ようにしなければならない。
データが得られたら速やかに集計しまとめを行い、必要なら即再観測を行う。
これを後日にしてしまうと、データに疑いが見えたり、間違いが見つかったりした場合の再観測が面倒になる。できれば2時間観測したら集計して、と繰り返すなどの工夫が必要だ。
今はビデオ観測が容易なので、わざわざ工程の傍らで観測する事の要否も検討に値するが、工程の中に入ってこそ見える事も有るので、ビデオ観測を選択しても、現場の観察は必ず行うようにしたほうがいい。
時間研究の目的は観測ではないので、得られたデータから何がわかるのか?を検討するのが主体だ。
ありがちなのは、観測したデータを元に観測者個人の感覚と想いだけを”改善”と称し、作業の並べ替えを行っただけの”改善案”を作業者に押し付けているような例だ。
こういうのは本当にゲスの極みと言っていい。
データの評価と改善案の抽出は、必ず複数の、それも有識者で行う。
この際に、無識者を”よかれ”と思って入れてしまうと、素っ頓狂な”改善案”が出てきてしまい困ることになるので、要注意だ。
良い結果を残したければ”無識者”は予め排除しておいたほうがいいだろう。
実際に改善を施したら、新しい工程も同じ方法で観測して、効果を評価するが、人の習熟を要する作業が含まれている場合には、新工程が稼働した直後の未習熟のデータをとっても正しくない、という事を知った上で対応するのは当然の事だ。
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今日の一曲
「OVER DRIVE」SCANDAL
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
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50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
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