tomo1961’s blog

-55を過ぎてギターを始めた男が早期退職した後の顛末'ing-

今さら聞けない仕事のツール その13 [No.2021-146]

 

「その12」以前が未読の方は先ずは一つ前の以下の記事から。

tomo1961.hateblo.jp

 

前回に続いて「IE 7つ道具」を順次説明してゆく。

  

私のブログの中では、この「今さら聞けない仕事のツール」シリーズは特に人気が無いから、私自身の備忘録という意味合いが強くなってきている。しかし、とにかく完結に向かって進めてゆく。

 

さて、物を運んだり一定範囲のエリアを繰り返し移動したりすることは多いだろう。

 

家庭で言えばキッチンや洗濯ものの取り扱いでは、毎日の事だ。

 

前回も書いたが、作業なんてものはとにかく最短で終わりにしてしまって趣味や楽しみの時間を出来る限り増やしたい。

 

IE手法はそういう目的のためにある、といっても全く過言とはならない。

 

私の持っている一番古いIEの本には、その冒頭に「人員を減らすために」という記載があるが、あれはバブルの絶頂期の記述であり、今は利益を出しつつ如何に雇用を守るか、という命題にも同時に答えてゆかなければ、”改善”の意味がわからなくなってしまう。

 

だから、これまで解説してきたIEに関する考え方は家庭などでの作業効率向上にも応用可能だ。

 

そして、この記事で解説する手法は最も生活面にも応用可能な項目だ。

 

洗濯物の置き場から、洗濯機のある場所に移動し洗濯し、上がったものを物干しに掛けてゆく、乾燥後畳んで収納する。という作業の流れだ。

 

毎度だが、基本的な情報は他で得てきてもらってある前提で進めてゆく。

インダストリアル・エンジニアリング - Wikipedia

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1. タイムスタディ(時間研究)
2. 稼働分析
3. 工程分析
4. 作業分析(動作研究)

7. 事務工程分析

 

5. レイアウト分析

6. マテハン分析

「レイアウト分析」、「マテハン分析」それぞれの基本については、いつものように”吊るし”の情報を検索するなり書籍に頼る形で得て頂いていることを前提とし、今回はこれら2項目については一括して論議してゆく。

 

研修レベルでこの二つの手法を学んでも、なかなかモノにできていない人を多く見てきたが、そういう人に共通して言えるのが「動線」と「導線」について理解が出来ていないからだと思われる。

 

動線とは

人が動いている道筋を「動線」と言う。

洗濯の例で言えば、現状=改善前の動いている道筋で、例えば、

・二階の寝室で洗い物を持って階下の洗濯機へ

・選択後洗い物を持って二階のベランダへ

・乾燥後二階のベランダから寝室へ

というのが動線という事になる。

 

よくイライラさせられるのが、自分の会社や職場の「動線」を知らないのか無視して現場に突っ立っている経営者や作業者だ。

私自身、取引先の診断中などで「社長!そこは作業者さんが通るのでヨケてやってください」と注意しなければならなかった事が何度もある。

 

・導線とは

これは分野によって使い方が異なる。

 

マーケティングの分野では、お客様を導いてゆく事を「導線」としている。

例えば、Aの商品を手にとった客は、商品Bが必要になる事が多い、ならばお客様を歩かせないように商品A,Bを近くに置くとか、魚と肉の売り場を近くにしておくなど、ちょっと私はそちら方面には疎いのだが、様々な「導線」にまつわるノウハウがあるらしい。

 

製造業におけるIE改善の分野では、「導線」は理想的な作業者の動くべき道筋、改善した後の「動線」を「導線」としている。

 

だから「動線分析」を行い「導線」を引き直す。という事になる。

 

用語の使い方はともかく、「動線」、「導線」の考え方が頭に入っているかどうかで、成果が違ってくるだろう。

 

さて先の洗濯作業の事例を使い、頭の中のシミュレーションで「レイアウト分析」、「マテハン分析」を行ってみてもらいたい。

 

先ず「レイアウト分析」の観点で見ると、そもそも洗濯機が階下にある事を改善したい。何故なら、この事例では洗濯物をしまっておくのも、外出後や就寝前に着替えをするのも二階の寝室だからだ。

 

洗濯機を二階に持ってくることが出れば大きなレイアウト改善の効果が出るだろう。

 

次に「マテハン分析」の結果はどうだろうか?

 

洗濯物を持ってゆくかごを片手で持てる取手はついているだろうか?

一回の洗濯量が入るだけの十分な大きさがあるだろうか?

などの改善案が挙げられるだろう。

 

製造工場で言えば、客先のメーカーから納品には指定箱の使用が求められているだろうから、小さな会社さんではこんな事をやっている。

1.客先の指定箱に入った材料を自社の箱に移す

2.移動台車に乗せる

3.倉庫に移動

4.移動台車から下ろして倉庫で棚入れ

5.作業開始に当たって棚出し

6.台車に乗せて

7.作業工程に移動

8.作業工程で台車から作業台に載せ替え

9.加工上がりの品物を指定箱に入れてゆく

10.加工完了後台車に載せ替え

11.台車で倉庫に移動

12.倉庫で加工完了棚に入れる

13.指定納品日に棚出し

14.台車に乗せてトラックに積み込み→納品へ

という流れになる。

簡略化のため検査工程を入れていないので、本来であれば検査工程で4〜11が再び発生する。

 

改善例

a.自社の部品箱を使わなくて良いように、客先の指定箱を必要数借用させてもらう

b.移動台車を使用しなくても良いように、車輪のついた部品箱用の移動台車をつくる

c.自社の倉庫から棚を廃止して、部品箱用の移動台車のまま置いておくようにする

d.倉庫の床に棚番号を書いておく

などが考えられる。

 

改善例a〜dを実施する事により、以下の行程を廃止することが出来る。

1.客先の指定箱に入った材料を自社の箱に移す

2.移動台車に乗せる

4.移動台車から下ろして倉庫で棚入れ

5.作業開始に当たって棚出し

6.台車に乗せて

8.作業工程で台車から作業台に載せ替え

10.加工完了後台車に載せ替え

12.倉庫で加工完了棚に入れる

13.指定納品日に棚出し

 

結局残ったモノを扱う作業は3,7,9,11,14だけとなり大きな改善となる。

 

わかりやすさのために簡単な例にしたが、日本の普通レベル以上の企業なら、この例のようなことは既に何十年も前に実施済みだろうから、分析の実践では現場を仔細に観察して分析し、有識者とともに有効な改善案を抽出することが求められる。

 

次回は「事務工程分析」とIE全体のまとめ(思い出)を書いてみたい。

 



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今日の一曲
「Push」Avril Lavigne

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