今回は前回に続いて「5S」について。
「その18」以前が未読の方は先ずは一つ前の以下の記事から。
前回の記事では、3Sや5S関わる、都市伝説的なネガティブ情報を否定させてもらったのだが、おそらくまだ信用できない人は多いだろうな。
まあ、仕方ないね。そういう間違った事をさせている経営者や管理者がほとんどだから...残念でならない。
さて、このブログのいつものやり方で、吊るしで得られる情報は事前に他から得てきてほしい。
但し前回書いたように、このWikipediaに書かれている内容には大きな間違いはある。
では、「5S」がどのような作りになっているのか?を解説してゆく。
前回の記事では2回で解説すると書いたが、ボリュームが大きく3回に分けることにした。
・「5S」という手法の導入[前回]
・手法としての5S(3S)[本記事]
整理,整頓,清掃
・職場文化を改革する[次回]
清潔,躾
・手法としての5S(3S)
整理
以下同様となるが、これは「手法としての5Sの”整理フェーズ”」という位置付けだ。
このフェーズでは大抵、教科書に「ムダなもの、使わないものは捨てなさい」と書いてあるので、管理者や事務局などの「推進側」は原理主義的に徹底的に廃棄を進め、指示を受ける側はびっくりしてしまう。
そして、最初のこの段階で社内に5Sの「推進派」と「否定派」が発生し、どちらの「派」も次第に過激化してゆく。
しかし一つの企業内、組織内のために、互いにその衝突は小規模に抑えつつ、皆納得してやっているかのようなフリをしつつ、5Sを進めてゆく、という形ができる。
これで形骸化された5S活動の完成だ。
ではどうすればよいのか?
整理フェーズの目的は「ムダなもの、使わないものは捨てなさい」だ。
だから整理フェーズでは、本当にムダなものや使わないものダケを廃棄する。
言い方を変えると、もしかしたらいつか使うかも知れないもの、はこの時点では捨てない、という事だ。
こんなことを書くと、悪い5Sに慣れてしまっている過激な「推進派」の人は、大騒ぎするだろうね。
正しい整理フェーズのやり方は以下のようになる。
・ムダなもの、今後絶対に使わないものは捨てる
・もしかしたらいつか使うかも知れないものは、わかるようにラベルを付けていつでも取り出せるようにしておく
この時に使うラベルを「赤札」という。
Googleで検索すると世の中で使われている「赤札」の事例がいっぱい出てくるので、「5S 赤札」で検索した上で「画像」を選択してみてみるといい。
「赤札」で、もしかして使うかも知れないと思っていたものが、本当に使われたのかどうかを評価することが出来る。
これを正しい5Sをやっている日本の企業では「赤札作戦」と呼んでいる。
あまり勉強していない「5S原理主義者」のようになってしまった5S事務局のメンバーは、この整理フェーズを大量に物を捨てることで早く終わりにしてしまい、早く次の整頓フェーズに入りたいと焦っていると思うが、そういう人材が事務局で大きな声を出している時点で、その企業や組織の5S活動は終わっているので、人事権がない社員はもう諦めるしかないな。
そういう境遇にいる人は本当にご愁傷さまだ。
この「赤札作戦」を進行しながら、社内に「反対派」が出てこないように、出てしまったら懐柔して「しかたない派」又は「推進派」に取り込む活動を地道に進めてゆくのも忘れてはいけない。
整理フェーズは「赤札作戦」を進めながらじっくり1年計画で進めてゆくのが理想だ。
え?そんなに待てないって?だったら5Sなんてやるの、やめちゃいなヨ。
整頓
整理フェーズでは効果が出てくるよう進めてゆく。
例えば、仕事がやりやすくなる、動作が極小化される(片手動作など)、さがすという行為が極小化される、迷うことが無くなる、社員同士の論議が減る。
以下のような「作戦」を実行してゆく。
・3定作戦
・看板作戦
3定とは「定位置」,「定品」,「定量」だ。
「定位置」とは、常に使うものでも、たまに使うものでも、めったに使わないものも、使うかどうかわからないが捨てなかったものも、すべての品物の置く場所=定位置を作る。
要は、置き場を決める、という事になる。
頻繁に使うものはすぐに使えるように、たまに使うものは取り出しやすいように、めったに使わないが捨てられなかったものは、しっかりしまって良いが、台帳などでどこにしまったのかすぐに検索できるようにしておく。
そして、もう察してくれた方も多いと思うが、めったに使わないものや、使うかどうかわからないが捨てなかったものには「赤札」をつけておく。
「定品」とは、そのモノは置く品物を決めて場所の側と品物にラベルを付けておき、誰でも元の位置に戻せるようにする。
「定量」とは、モノの量を決めておく。
そして3定全体横断的に「看板作戦」を実行する。
「看板作戦」とは、すべての品物の置き場を「駐車場」と定義して、その場所と品物にラベルを付けておくということ。
車で言えば、自動車自体にナンバープレートがあり、駐車場にもそのナンバープレートと同じ「看板」を立てておく。
数量があるものの場合、例えば乾電池のストックなどの場合は、最低数量と最大数、及び注文数量を記載して、発注看板も用意しておく。
会社全体の文化として、この整頓フェーズを実施している間に、全社員が少なくとも「まあしょうがない派」か「推進派」になるように進め、「反対派」がもういなくなっているようにしておく。
ここまで来ると社内はかなりスッキリとして、物を捜す時間が激減しているはずだ。
3定を実施する際に、以下のような改善着目点に注目して展開すると良い。
・物を取り出したり操作する時には、出来る限り片手でできるように工夫する
・ひと目で見えるような場所に、ひと目で見える大きさで表示する
例えば、3定を表面的、原理主義的に進めてしまうと、レポートなどの紙をファイル閉じるために、穴をあけるパンチを、定位置にしまい込んでしまう、というような例が出てくるが、これでは仕事がやりにくくなってしまう。
この例で言えば、パンチを誰でも見える、使える共用机や棚の上に、パンチを動かさなくても紙を指して押せば穴が開けられるように置いておく、のが3定の完成形となる。
皆が頻繁に使うものは、共用にして誰でもいつでも片手で一瞬で使えるようにしておく。
そうなると、個人の引き出しにしまってあるパンチは、使う時にいちいち出して、と使いにくくなるので廃棄して、皆が共用のものを使えば良い。
だからこうではなく...
こうなる。
これなら打ち合わせの直前に完成した資料をプリンターからとって、PCと資料を脇に抱えたまま片手でパンチングでき、動作のロスが極小となる。
「整理」は同様にサーバー内の電子データなども実施するし、作業手順や判断の基準なども整理して明らかにしてゆく。
これによって、毎日毎日論議したり調整したり喋ってムダにしている時間を極小化する。
清掃
このフェーズを「清掃」としている、ここが5Sをスローガンだと勘違いさせてしまう元凶になってしまっているのだが、実際どう考えても他の文言が浮かんでこないのでしかたない。
やはり先人は偉かったということだ。
ここで言う「清掃」はお掃除だけではない。
というか主に目指しているのは「点検」だ。
例えば、デスクワークで仕事をやりっぱなしで資料はそのまま、デスクのノートPCをパタンと閉じて帰宅してしまう。
本当は、その積み上がった資料の中に、明日朝一番に客先に届いていなければならない、見積書があったとしても「清掃」をしないまま帰宅してしまえば、この場合だとお客様との約束違反、というミスが発生してしまうのだ。
だから、毎日必ず「清掃」を行う。上記のようなことを想定すると、毎日定時直前に実施するのが良いだろう。
当然だが、5Sは業務として展開するので、「清掃」も就業時間内に行い、社員の休憩時間に食い込んでしまわないよう、経営者や管理者がチェックすることも忘れてはいけない。
往々にして、経営者や管理者こそがそこを破ってしまうが、労働基準法をよく読み直しておいて欲しい。
正しい5Sをやっていれば毎日掃除をする5分くらいの効率アップはあっという間に出る。
紙が机からピロンと落ちて、デスクの後ろの棚の下に入ってしまってもわからない。
だから、「清掃」しやすいように、全ての棚の最下段は床より15Cm以上空けておく。
そうすれば物が落ちても拾えるし、掃除をする時にモップが入る。
大体にして、棚を売っているままに設置してしまうと、棚の下がホコリの巣窟となり、社員の健康にも良くない。
嵩上げできない棚ならキャスターを付けて清掃の時に移動できるようにしておく。
清掃は点検だから、場所ごとに清掃間隔を設定しておき、それぞれ記録をつける。
毎日する場所、週に一回清掃する場所、月に一回で良い場所などを決めておき、点検と実施記録の表を、そのエリアの壁に掲示しておく。
清掃は、どの道具を使いどのような手順で行うのが効率が良いか検討しその手順を明らかにして、短時間で実施できるよう統一しておく。
そして毎日の清掃は、社長でも本部長でも社員全員で行うが、その清掃時間は目標10分以下、上記のようにやり方を決めておき、担当も決めて5分程度で済ませてしまうように改善する。
広大な倉庫を数人で担当しているような職場でない限り、十分できるはずだ。
次回は、清潔としつけで企業文化、職場文化を改革するにはどうすればよいのか、について解説したい。
5Sの本は数多く出ているが、書籍として一番わかり易いのはコレ。
但し、テクニックしか書かれていない。
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