「その13」以前が未読の方は先ずは一つ前の以下の記事から。
「IE 7つ道具」の最終回。
さて、企業には必ず「事務処理」とひとまとめに呼ばれている”仕事”がある。
伝票に関わる事や書類のチェック、承認など様々だが、これらの処理について、事務処理の分析調査を行っていない企業では、おそらく誰一人としてその処理の全体を把握している人はいないのではないだろうか?
例えば伝票の処理は、注文から見積もり請求、現品が入って検査して検収、その後支払いに向けて処理が進んでゆくわけだが、部門が多岐に渡るため自分の職場が担当する”部分”だけしかわからない。
だいたいそうなっている。
上記の例のような、お金が関わる処理は、経理部がしっかりしていて、少なからず全体像を把握しているだろうが、これがモノの受け渡しだけだとか、生産に関わるような処理の場合は、誰一人として全体をわかっていないだろう。
では、自分の仕事はどうか?
そりゃ一から十までわかってるさって?
本当だろうか?
調べてリストアップしてみた事はあるかな?
1. タイムスタディ(時間研究)
2. 稼働分析
3. 工程分析
4. 作業分析(動作研究)
5. レイアウト分析
6. マテハン分析
7. 事務工程分析
詳細を説明しているサイトはいくらでもあるので、ここではいつものように実務にまつわるうんちくや思い出を書いてゆく。
「事務工程分析」と言っても、特別にこれに特化した分析があるわけではなく、これまで解説してきた行程への分析と改善案の抽出作業を、事務処理を行っている現場に適用する、というだけだ。
ところが、事務処理=デスクワークになった途端に、皆自分の作業をオープンにせず、「個人の裁量の範囲だ」なんてわけのわからないことを言って協力しない人が多い。
特に役職者になると、本当にアホと言うか間抜けというか、変な言い訳をして「ここのところは任せてくれればいい」みたいな言い訳で壁を作ってしまう。
企業、会社、組織というものは、公共のものであり、事務職や役職者といえども、その机の上、そして中にはプライバシーはない。
それを認めているとしたら、その組織は二流だ。
どうしても個人のものを置いておきたいのなら、鍵がかかるロッカーか、マイカー通勤者なら車の中においておくべきだ。
以前こういう事件があった。
他部門から依頼がある仕事で、その内のとある業務だけは、リーダーが口頭で受け付けた後、メンバーに口頭で指示し、受け付けた内容などをメモに起こして自分の引き出しに入れておく。
完成品はそのリーダーが持って依頼部門まで手渡しで納品し、その後手作業で注番(注文番号)を起こしてシステムに出来高を登録する。
というマヌケな作業で、それも何代も前から同じ様に引き継いできたというのだ。
誰か途中にまともなヤツはいなかったのかねぇ?
そしてあるときそのリーダーが数日病欠して仕事が止まった。止まっただけなら残ったものでなんとか出来るが、誰が何をやっているのか誰も知らず、リーダーがいない間その仕事は止まってしまったという。
毎度ながら極端な事例だが、こういったイレギュラーで非効率なことは、それなりの観察眼をもって、あらためて見回すと、身の回りに意外と多く発見できる。
歴史がある大きな企業ほど多いだろう。
リーダーは、自分の職場の責任区分と権限の範囲を知った上で、担当する全ての業務をリストアップし、それぞれ個々の業務について手順をはっきりとして、その中に無駄や無理がないか、個人が不当に背負い込んでいないかどうか、調べて改善する。
これはリーダーの日常業務であるので、私達の世代のIEには「事務工程分析」は含まれていなかった。
しかし、事務行程の管理者のレベルは相変わらず低く、他国に対してホワイトカラーの生産性の低さが問題になった。だから追加されたのだと思っている(違うか?)。
IE全体のまとめだが、IE改善をIE改善チームにヤラせて学ばないリーダーが多いが、それではいけない。
経営者はもちろん、管理者、リーダーはIE7つ道具だけでなく様々な仕事のツールの目的と機能をよく理解した上で、自分で執行できることは自ら、部下にお願いすることはお願いし、それでもうまく行かなければプロジェクトチームを立ち上げて推進するべし。
次回は標準化
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