今回は「QCサークル活動」について。
「その15」以前が未読の方は先ずは一つ前の以下の記事から。
「QCサークル活動」をうまい具合に運用できている企業は、今は殆どないとも聞く。
これまでに紹介してきた仕事のツールや手法について、その全てのWikipediaを再読してきたが、この”QCサークル”については、Wikipediaに特に「問題点」という項があり、かなりのボリュームで批判的に記載されているので、先ずは以下のリンクからそれを眺めてきて欲しい。
私の経験からみても、ここに書かれている批判はかなり納得できる。
しかし、私が在籍していた会社では、おそらく半数以上がこれら問題点を乗り越えて、真実を元に活動して実際に成果を出し、うまい発表を行っていた。
ある製造関連会社では、全社一体となって素晴らしい活動が行われている事例発表をみて、その別の機会の出張時にそれが発表だけのものではないのを目の当たりにした事もある。
まあ、要はなんでもやり方なのだ。
上に私は”QCサークル”と「QCサークル活動」を別に書いた。
トップや品質管理部門が「”QCサークル”をやってください」というスタンスでは、社員はその名詞として指し示された”QCサークル”をヤルだけだ。
そして、旗を振っているトップや品質管理部門は、アウトプットとして「発表」が欲しい、という事になり、そもそも最初から形骸化している、というか、
むしろ形骸化が仕掛けられている。
と言っても言い過ぎではない。
ではどうするか？
では、別の問として「何をやってもらいたいのか？」を私から問う。
その答えが”QCサークル”ならば、その組織はこの時点で品質管理的に終わっているのでここで話は終わりだ。
正しい答えは「品質を向上してもらいたい」のではないだろうか？
もっと砕くと、求めたいのは「全員参加活動で品質を向上してもらいたい」という事になるハズだ。
このステートメントがトップから末端まで染み込んでいるかどうかで、うまくいくかどうかが分かれることになる。
QCサークル活動には、いくつかの定石や定形があるが、活動を主として定形に倣わないケースをアリとする文化が必要だ。
要は成果重視の文化。
大抵の企業では、机上でQCサークルを勉強した品質部門の担当者が、せっかく苦労して成果を出したサークルに冷たく、
「それはQCストーリーから外れていますね」
と、あしらう。そしてここから活動の瓦解が始まるのだ。
高度経済成長中と、バブルの時代は、何をやっても儲かった、原価が高くても儲かった。
この頃同時にQCサークル活動が全国的に波及し、廃れていた本家アメリカの製造業でも逆輸入された。
しかし、あの頃の”QCサークル”は、品質向上だけが目的ではなかったと言ってもいいのだ。
その目的は、末端作業者のモチベーションの向上、作業者同士のコミニュケーションツール、管理者の自己満足、課外活動、飲み会の仲間、企業によってはレクリエーションの一種であったところもある。
バブルが過ぎて、”QCサークル”に関わる社内の考え方や文化に手を入れないまま、その成果だけを求めるようになりブラック化した結果が、Wikipediaの「問題点」で指摘されているような事と言える。
「QCサークル活動」の元締には、こういった問題を理解し、成果重視の文化を醸成し、サークルの高いモチベーション維持をサポートし、成果が出たサークルは例え定形や定石に倣っていなくても評価できるだけの、知識と経験値を持っている者が関わることが大切だ。
「QCサークル活動」は、品質の向上のため、そしてそれを全員参加活動で実現する。
これが目的であることさえ忘れなければ必ずうまくいく。
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