今回はISOについて、ISO9001を中心に書いてみた。
「その21」以前が未読の方は先ずは一つ前の以下の記事から。
仕事のツールなのにISOだなんてどうした?ISOは認証であってツールじゃないぞ!
と思っている方は、ご自分の無知を反省したほうがいい。
現役時代に取引先に監査に行くと、ISOを単なる認証だと考えている会社では、社長直轄のISO事務局をおいていて、その事務局にはその組織の構成上現場に口を出せないようにしてある。
そして意外とその多くが、ISO事務局を品質管理部門と切り離している。
これは、ISOは認証なので品質保証や実行組織とは、要は連携してもらっては困る、という経営の考え方なのだろう。
もっと言えば、ISO9001の要求事項に従って、「まじめ」に活動されたらロスばかりで儲からない、という認識の無知な経営者と経営層、という事になる。
最近では三菱系列で品質不正のニュースが流れているが、このように本来の品質保証=より良いものを生産する、という事と、品質保証されているように振る舞う=記録などの見えるところだけ繕う、という事を切り離していると、長年の中で生産活動が厳しい時に不正を行うようになってしまう。
人間とは弱い生き物なのだ。
ではいつもの通り、基本的な知識についてはネット上で得られる”吊るし”の情報から得てきて欲しい。
ISOに関しては、それ自体の解説や位置付けについて書いてしまうと(実際に一旦書いてしまったのだが)賛否両論を許すような説明になってしまうので回避して書いた(ずるいケド)。
私が実際に経験しているのは、ISO9001、ISO14001(環境)、そしてISO13485(医療機器)だから、その経験で得た事例(その事例を具体的に書いてしまうと守秘義務上問題があるので具体例は書かずに)を基にした。
そして、ISOは単なる認証(=看板)ではなく、ツールであること、そしてコレをうまく使うことによって、儲かる経営も出来るし品質を向上できるという事を説明したつもりだから、一旦書いたものの殆どを削除して、以下短い解説になった。
もし今までISOを単なる認証だと勘違いして来た人は、先ずはISOを自分たちのツールにする、という視点に戻さなければ始まらない。
で、そういう視点で眺めると、例えばISO9001で言えばこうなる。
・自分たちの仕事の範囲を定義し、
・その定義とともに手順を文書化して、
・遵守する。
という簡単な事だ。
さて一体このような活動からどのようなメリットが得られるのだろうか?
様々なメリットがあるのだが、これまでISOは看板を得るだけと考えていた人の立場に対抗する形で上げてみた。
・仕事のミスを減らす
・組織の横連携を明らかにして効率を上げる
・これまで見えていなかった手抜きや不正を正す
・継続的な改善活動が出来る体質にする
・第三者に見られても明確な活動として説明できる
などなどとなる。
「なんだなんだぁ?ISOだと文書や記録など手順や手間が増えるのに、それは嘘だろう?!」と言う人がいる。
実際、継続審査を受けず認証を切ってしまったところを数社知っている。
確かに、ISOを取得すると自然にこうなるわけではないから、勘違いしている経営者がISO不要と考えてしまうのも仕方ない。無知の所業だな。
経営者や管理者に、ISOを活用してメリットを出す、という意思がなければ、メリットを出すことは不可能だ。
大体にして経営者はともかく、その下の管理者以下のうち通常8割程度は、毎日自分のプライドや権限の確保、地位を上げることによる給与の最大化などに忙しく、余分なことなどに関わりたくない、という腐った人達なのだ。
ではどうすればそのような意思を持つことが出来るのか?
それにはISOに関する知識を得てもらうしかない。
一番手っ取り早いのは、BSIやTUV、JQAなどの認証機関が実施しているセミナーに参加するのがいい。
こういう話をすると社長が「では〇〇くん。責任を持って行って勉強してきてくれ」なんてふんぞり返ってご指名したりするが、その時点でその会社は終わっている。
ISOを活用して、その認証費用以上のメリットを出したいのなら、先ずは社長が必要十分な知識を持っていることが必須となる。
ISO=看板でありロスが多い、という勘違いを否定する事例を一つだけ紹介しておく。
・取引先から不適合の指摘があった。
・部品の変形だという
・変形の状態から落下変形と推測された
・数量は1個
しかしISO認証を受けた上で、仕事を明らかにして文書化し記録を残し、それをきちんと遵守していたあなたの会社は取引先に対して、
・検査を実施した記録
・部品の包装手順書と記録
・包装作業の実態
などを提示することにより、
・包装単位である20個の同時被害が発生することはありうる
(配送運転手が部品箱を落下させるなど)
・1個だけが落下変形することはありえない
という事を示して、顧客側が受け入れた後に落下しなかったのか?の調査をお願いした。
結果、顧客側の自責だった事がわかり事なきを得た。
これによって、自社の品質保証体制が強固だというアピールができただけでなく、その無い責任を認めてしまった場合の、
・不具合解析の実施
・その報告書の作成
・その説明
など、多大な時間が節約できた事になる。
特にこのような、自社側に要因がないのに、その責任をを認めて(受け入れて)しまった時には、無い要因をつくり上げて報告書を作成する作業になるので、それに要する時間は膨大となる。
ISOをツールとして社内全体に徹底して、その活用スキルを高めることによって、儲かり品質も上がり、且つ認証費用を超える成果を出すことが可能だ。
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「風をあつめて」Little Glee Monster
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