また、品質保証に関わる偽装が明らかになった。
今頃まで、まだやってたのか?
というのが正直なところだ。
と、いうのも、実際私も自分の会社でこれに近いことが行われていて、指摘しストップさせたことがあるのだ。
少し以前だとこういう事件もあった。
日産の無資格者完成検査問題とは何だったのか
もとは雪印の事件や焼肉チェーン店の不祥事などが続き、世の中が一斉に再点検を行った。
そういう時期があった。2002年頃以降約10年間だ。
もう今から20年ほど前になる。
私がセブ島の駐在から日本に戻り、品質保証の一部門のリーダになった時の話は以前の記事に書いたが、実は他にもあった。
2007年のある時、近々事業部の品質保証部長が品質点検に来るというので、私も事前に点検しておかねばと思い製造現場の品質記録を確認して回っていた時だ。
その時の事業部の品質保証部長は、若い頃からよく知っている人で、「先輩」と言っていい人だったから、その先輩がこっちにきて、何をどの程度、どうやって点検するのかは大体予測できた。
その先輩は「神は細部に宿る」というタイプだ。
だから、検査記録などは結構細かく見られるだろうと思い、あるラインで、前日の検査記録を見せて欲しいと、その検査員にお願いしたのだが、その回答がこうだった。
「検査表は毎日ラインリーダーのK君が家に持って帰って書くようになっているから。ここ最近は彼は遅れていて、直近数日の分は彼が持っていっているよ。言っといてよ〜困るって」
「俺は検査の時には号機ナンバーを書いてるだけ。そう言われてるんだよ。検査結果まで書けって言われても無理だよ。忙しいんだから」
というのだ。
それを聞いた私は卒倒するほど驚いた。
要は、実際に検査を行っている時には記録はせず、検査記録を別に作成=捏造していた、というのだ。
そしてそれが不正行為だということを、この現場の検査員は認識していない。
私はすぐに不正が行われている事を関係部門と上長に対してオープンにして、現場の管理者には即時是正を指示し、事業場の全行程の品質記録を順次確認した。
幸い問題が発覚した工程以外では行われておらず、軽微な要是正事項は見つかったものの不正の規模としてはそれほど広範ではなかった。
それが2007年の事だ。
さらに話を聞いてゆくと、品質部門も何年も工程の品質点検を行っていないという事もわかり、それにも驚かされた。
もちろんその後速やかに正常化させた、というわけだ。
その時にいろいろと調べてみると、雪印や不二家、日産、三菱などの大きな不祥事が報道されてから、日本の製造メーカー各社それぞれ再点検を行い自ら是正していたという事を知った。
そういう事で私の中では、この2000年からの10年は、日本製造の不祥事からの脱出の時代、と呼んでいる。
だからなおさら、今のこの2021年になって明らかになった今回の三菱の不祥事には呆れる、というかなんというか妙な感情を持ってしまった。
要はあの10年間に自浄作用が働かなかった人達だったということなのだ。
間違ったことを知っていた人達は、どんな思いだったのだろう、当然と思っていたのか、それともヒヤヒヤだったのか?
聞いてみたい。そしてその時にその人達の顔を、表情を見てみたい。
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今日の一曲
「Stairway To Heaven」Led Zeppelin
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