もし私が「定年を考え始めるのは五十歳でも手遅れかもしれないですよ」と言えば、これを読んでくれている方はどう思うだろうか?
ほとんどの人は「何をバカなことを言っているんだ、まだ早いよ」なんて感じだろう。
普通は、五十歳といえばまだまだ現役で、しかも企業や組織の中心として部下や従業員を引っ張っているような、社会の中心で活躍されているだろうから、そんな風に思うのも無理はないだろう。
しかしよく考えてみてほしい。
今は「人生百年」の時代。九十歳を超えて元気な方も珍しくないし、百歳を超えたからといっても普通で、少し前みたいにニュースになるなんてことはもうない。
実際、現役として一生懸命仕事している期間を約四十年とすれば、定年退職後も、その半分以上の時間は元気で活躍できるし、活躍しなければならないのだ。
総務省のデータから、80歳以上の人口を抜粋して表にしてみたので確認いただきたい(住民基本台帳に基づく2020年1月1日時点のデータ)
年齢 | 人口 |
---|---|
100以上 | 7.2 |
95〜99 | 48.0 |
90〜94 | 170.7 |
85〜89 | 354.3 |
80〜84歳 | 526.1 |
単位:万人
80歳以上の人口が約 1,106 万人であり、これは全人口の8.7%に登る。
100歳以上の方は7万人以上もいるのだ。
私達の親たちの世代は、定年退職後は「リタイア」した後の余生、と考えられていて、実際に彼らは、定年の翌月から公的年金を受け取り、それに企業年金を上乗せでもらって文字通り悠々自適な生活をしてきた。
しかし、これからはどう考えても違う時代になる。いや既になっている。
第一に、私達はもう65歳にならないと年金を受け取る事が出来ない。
少なくともそれまでは何らかの収入を得なければならないのだ。
また、我々の年代は、文化という面でも全く違う世代だ。
親の世代は、昭和一桁生まれで日本の高度経済成長を支えた人達だ。
旦那は企業戦士として働き、奥様はそれを支えてきて、退職後も支え続けてくれている。
「おい」と言えば必要なものが目の前にできてた人達で、だいたいは家では名詞しか話さなかった。
しかし私達の世代は違う。
男女平等。家庭では共同作業だし、そもそも家計だって二人で共同で支えてきた。人によっては奥様の方が収入が高く、役職が上なんて人だって珍しくないはずだ。
だからもう既に世の中は変わっている。
定年退職後も健康に活動、活躍できる、と言えば綺麗事で、動き続けていなければならない、というわけ。
健康な人が家でぼーっと暮らすことを許してくれない時代、と言っていい。
だから、これまでの人生とは別のほんとうの意味での「第二の人生」をどう生きるのか?、出来る限り早く準備を始めておく必要がある。
長年勤めていた会社に勤め続ける「再雇用」。本当にあなたの人生それでいいのか?自問して欲しい。
多くの企業では、再雇用後も仕事や労務管理は現役時代と変わらないまま、給与だけが半分、なんてのが普通だ。
そしてそいう待遇だという事を、再雇用で勤めはじめた後の最初の給与支給日に知った、なんて人を実際に見た。
本当にそんな待遇で仕事を続けられるのか?我慢できるか?
こういった命題について真剣に考える時間は、数年でも足りないだろう。
今は仕事が忙しくて、まだそんな先のことなんて考えられないよ。定年までしっかりやり切ってから、どうするかはその時に考えるよ。
そんな事を言っている人も数多く見たが、そういう考えない人は例外なく再雇用を選択し、そして後悔していた。
また、60歳になってしまってからでは手遅れな手続きがある。公的手続き、資産の運用、健康維持、家族との関係、自分の居場所、住居とその費用、趣味など、その時になってしまってから考えたのでは、間に合わないことが多い。
特に投資など積み立てで時間を利用するような事は、定年満了時点でもう手遅れだ。50歳から始めてももう遅いくらい。
趣味。
十分な資産がある人は趣味に旅行にと楽しみにしていると思うが、60歳になってから趣味をさがす、ということほど惨めのものはない。
頭も手先も衰えてから、若い頃からやっているような人に教えてもらっても、自分の立場はいつも”出来ない君”で、趣味だと思って出かけているのに、わざわざ劣等感を味わいに行っているようなことになる。さみしいものなのだ。
今趣味がない人は、50歳からでも始めて定年時には、それを楽しめるほどに習熟しているようにしなければ寂しいだけだ。
また趣味は一つだけではだめだ。
友人と楽しく出来ることだけでなく、自分ひとりだけで楽しめる趣味、の最低二つは持っていないとどうにもならない。
そして、一人で楽しむ趣味は、たった一人でいても、それをやっていれば半年くらいは全く飽きない、むしろ時間が足りない、というくらいの趣味を持ちたい。
万が一何かでロックダウンが起こっても「やったね!アレに没頭できるゼ」といって歓喜できるような趣味だ。
もちろん趣味を兼ねて収入が得られれば最高だ。
冒頭で定年準備は50歳からと書いたが、大げさではないしもちろん釣りではない。
まだ準備を始めていない人は、直ちに、今日、今から手を付けた方がいい。
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今日の一曲
「夜行バス」あいみょん
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