tomo1961’s blog

-55を過ぎてギターを始めた男が早期退職した後の顛末'ing-

あの日はまだ花粉症になっていなかったが今はつらい [No.2021-055]

 

ここ数年のことなのだが、この季節になると花粉症でつらい。

生まれてこれまで花粉症になったことがなかったのだ。

 

だから数年前からロートのアルガードという目薬を使っている。まだ医者にかかったことはないので、この目薬が本当に適切なのかどうかはわからないが、数日続けて点眼していると効くのでこれで良しという事にしている。

 

今年は何かと身の回りがガタガタしていて、つい注文するのを忘れていたのだが、先週ようやく手に入れることができた。近くの薬局に行こうと思っていたが、安くて送料無料というのがありがたく、今年はポチして購入した。

通常バージョンだとずいぶんと安いんだな。

【第2類医薬品】ロートアルガード 10mL

【第2類医薬品】ロートアルガード 10mL

  • 発売日: 2005/01/14
  • メディア: ヘルスケア&ケア用品
 

 

家から出なくても何でも手に入る、というすごい世界に生きてるんだね、俺ら。

 

 

10年前の今日。そう、あの時は、私はまだ花粉症ではなかった。

 

あの日は、当時品質保証部の製品品質担当チームの責任者で、ある製品のユニットの電源に不具合が出ていて、一定期間の生産品についてはお客様の品物の修理を進めていた。あの日もその関係で毎日忙しかった。

 

デスクで仕事をしていると急に目がクラクラするような変な感じになった、と思っていると隣の同僚が「地震だなこれは」と言った。

 

揺れは強くなったが机や什器がガタつくほどではない。

しかしその揺れがなかなか止まらない。

 

「でかいなこれは」と独り言のようにつぶやき立ち上がって職場全体を見回した。

 

すぐ後ろの打ち合わせコーナーでは、私のところの部長と東京事業場の部長の二人が揺れなどないかのように平然と話し続けている。

 

しかし私は構わず「大きいぞこれは!安全確保して!」と言ったのだが大きい声が出ない。近くの数人にしか聞こえないくらいだったと思う。

 

するとその直後、数メートル離れた机の開発部門の部長が「地震だ!安全確保!」と数回に渡り叫んだ。訓練通りだ。

フロアは百数十人規模の、田舎の工場としては大きなフロアだったのだが、あの時の彼の声は全員に聞こえたと思う。

 

訓練では彼がフロア長としてそう叫ぶ段取りになっていて、訓練の度に彼は叫ぶ練習もしていた。やっぱり訓練というのは必要だと思ったな。私は声が出てなかったしな。

 

数分後に揺れは収まった。

 

私は課長に「私はNさんと恒温恒湿試験機の確認に行きますので、点呼お願いします。本日の出張者は1名、東京から3名来ています」と告げ、Nさんと供に早足で試験機がある二つ下の階に走った。

 

これも訓練通り、私の担当のところだから声は出た。

 

試験機は数台あり、もちろんそれらには電源が必要で、もし停電になると復旧には面倒な操作が必要になる。さらに恒湿機能があるので水道管と排水管に繋がっており、もしこれに損傷があると漏水になるため、電気系と水回りを最初に点検し正常を確認。その後試験プログラムの動作に異常がないかを、これらは日常点検手順に従って実施した。

 

どちらも問題はなくほっとしながら、Nさんと関係のない雑談をしながら職場に向かって階段を登っていった。

 

職場に戻ると既に皆通常業務に戻っているようだった。

 

私は念の為東京事業場に出張していたMさんの携帯に電話を入れた。多分これが14時50分から15時位だったと思う。

 

電話はまだ正常に繋がり、様子を聞くと「ものすごい揺れました。ホントビックリしました」との事。続けて「今日こっちに泊まってもいいですかね?多分高速バスもあずさにも影響すると思うんです」。

なるほど、私は思ってもみなかったが、確かにその方が懸命に思えたので「なるほど。すぐに宿を確保して今日はそっちに一泊してください」と告げて電話を切った。

 

その後仕事をしていると16時頃にそのMさんがメールで「電話が全然つながらなくて宿もまだ確保できていません。そちらで手配してもらえないでしょうか?」と入れてきた。

 

確かにMさんの携帯に電話をすると全くつながらない。

 

そこで庶務担といっしょに宿泊予約サイトを片っ端に検索したがどこももう一杯。しかしその後ようやく、事業場最寄り駅から徒歩15分というビジネスホテルに1室確保できた。

 

メールと彼の携帯にショートメッセージを入れると了解の旨直ぐに返事が来た。こういう時はショートメッセージは強いんだなと思った。

 

東京事業場から出張で来ていた3名の内2名は、その時点で既に会社を出てJRで帰京したとの事。もう1名のAさんは「オレはねぇ経験上こういう時は動かないほうが良いと思ってるんだよね。もうエビスホテル確保できたから」と自慢げに言い。

 

「tomoさん今日飲みに出ない?オレ一人じゃ寂しいからさ」

 

私もその時点ではあんな事になっているとは全くわからなかったし、Aさんと呑むのも久しぶりだったので、行くことにした。

 

そして、飲み屋さんでテレビを見て驚いたのだ。まさかあんな事になっていたとは。

 

先に帰京した2名も東京まで戻れず、山梨辺りまで行けたものの、結局岡谷まで戻って宿泊した、と後で聞いた。

 

翌日から報道された映像などについては知らない人はいないと思う。衝撃だったな。

 

週が明けて月曜日には、金曜日に発送した例の不具合交換用の部品が、宅配業者から全て戻ってきた。当面の間配達は出来ないという事だった。

 

報道で知ったのだが、震災後に被災した地域周辺でいくつか古い石碑が発見されたそうだ。

それらには、”津波が来たらこの場所より上まで逃げなさい”ということが彫り込まれていたが、近年藪の中に埋もれてしまい、忘れ去られていたらしい。

 

人が忘却してしまうというのは、ある面では自然な事なのだが、反面ではとても残酷な事だと思う。本当に残酷だ。

 

一体いつ忘れられてしまったのだろう?

 

一旦忘れ去られた事は、もう思い出されない。

 

残酷な事だ。



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今日の一曲

震災後リリースされた「Songs For Japan」というCDがある。その2枚目の13曲目に入っているのが「Teo Torriatte(手を取り合って)」だ。

Queenはまだ、英国でも世界のどこでも”売れて”いなかった1975年の4月に初来日したが、日本では既に人気があり1,000人以上のファンがが空港に迎えに来ていた。

そしてこの日本での人気がきっかけで世界的ミュージシャンとして名をあげていった。

彼らは今でも日本に恩義を感じているそうだ。”忘れない”という事は温かい。

Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」Queen

Teo Torriatte (Let Us Cling Together)

Teo Torriatte (Let Us Cling Together)

  • クイーン
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

SONGS FOR JAPAN

SONGS FOR JAPAN

  • 発売日: 2011/04/22
  • メディア: CD
 

 

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