先に軽量化について書こうと筆を進め始めたのだが、その前に行動中に「道迷い」してしまわないように、最低限の装備と準備、行動中の事については先に書いておくべきと考えた。
先ず、登山やトレッキング、又はハイキングという呼称によらず、一旦山の中に入れば必ず「道迷い」の危険がある。これは大前提である。
「そんなの大丈夫だよ」なんて言わず、常に道に迷う危険があると思って歩いていてほしい。
さて質問だが、あなたが低山に”ハイキング”として入山している時と、北アルプスの槍ヶ岳周辺の登山道を歩いている時と、を比較した場合にどちらが「道迷い」になりやすいかわかるだろうか?
答えは、低山のほうが「道迷い」してしまう確率は高い。
何故か?
尾根が不明瞭な場所は道に迷いやすい。
森林地帯など見通しが無い場所は道に迷いやすい。
という事になる。先ずこの大原則を頭に入れておこう。
更にどうだろう。私のイメージなのだが、低山を歩く人のほうが、北アルプスを歩いている人より準備や装備が甘い傾向にあるのではないだろうか?
と言う事は、低山は「道迷い」になる頻度がさらに高いという事になる。
ネット上にも、低山で道に迷い夕刻が迫る中やっとの思いで下山した、というような数多くの記事を見ることが出来る。
しかし、この様な記事を読んでわかるのは、彼らは入山時には既に遭難しているという事だ。
どういうことか?
道に迷う条件はこうだ。
1.ルートに不慣れである、又は初めてのルート
2.位置を知る方法を持っていない
3.方位を知る方法を持っていない
4.正しい方向に歩いていない
さらにこれに出発時間や季節、気象条件や疲労、”運”などが加わって道迷い遭難の発生確率が上がってしまう。
上記に該当していれば、「入山時に既に遭難していると言っても過言ではない」、というわけだ。
しかし実際の場面では、1〜4の条件を満たしていても、”大抵”の場合は迷うこと無く無事に帰ってくることが出来ているし、そんな風にたまたま運が良い事の方が多い。あとはその時の条件と確率の問題だ。
さて、先ず上記1〜4の1番目については、その山域に何度も登っている地元民以外の多くの登山者が該当してしまうので仕方がない。
2番目以降についてはどうか?
こいういう話をすると「地図読みなんてムリ」とか、「そこまでして登ろうと思わない」、「だったら誰かについてくから」なんて事を言い出す。
しかし、誰かについて行ったって迷う時には迷うのだ。
ではどうすれば良いのか?
スマホで利用できる、それも無料のGPSアプリがある。そういうものが複数存在するのだ。山に入る人は必ずこのアプリを入れておくべきだ、という話。
こんな素晴らしいものを開発して配布してくれている方々には本当に頭が上がらない。
カーナビよろしくGPSによって自分の位置と方位及び標高がわかる。だから例え前後不明になったとしても、いわゆる”迷った”状態にはならない。
「あれ?違うな」と思ったら、画面に残っている自分の軌跡を逆にトレースしながら戻ってゆけばよい。
アプリにトラックバック機能があればそれを使うことが出来る。自分が歩いてきたように戻れば、いずれ見覚えのある場所に辿り着けるはずだ。
そもそも、適宜このアプリの画面を確認していれば、基本的には「道迷い」になることはない。もちろん、「登山道でないところを歩いてゆかない限り」という条件はつくが。
さて、では私が使っているアプリを紹介する。
Geographica
というアプリだ。iPhone版もAndroid版もあるのでスマホさえ持っていれば誰でも使える。
このアプリの良いところは、スマホを”機内モード”にしていても内臓のGPS受信機能と連携して、地図上に自分の位置と方位、高度、緯度経度を表示してくれることだ。
だから圏外になる地域でも機能する。
だから私はスマホの充電節約のためもあり、機内モード+節電モードで使用している。
加えてモバイルバッテリーを一つ持っていて、これで4日間(昼間の稼働分)くらいは問題ない。
アプリの詳細は以下のリンクから公式webページに飛んで確認していただきたい。
かなり詳細な説明が相当なボリュームで書かれているが、基本機能だけ理解しておけば問題ない。
基本的な機能とは以下の2点だけだ。
・自分が行動する予定地域の地図の取得方法
・ログ開始と終了の操作方法
このアプリには様々な機能が備わっていて、有効に利用すればより便利だが、先ずは上記2点だけ押さえておけば問題ない。
私も、この2つ以外は、現在の高度を読み上げてくれる機能を使っているだけである。
但し、スマホの画面は、雨天時に手が濡れてしまっていると操作できない機種が多い。また、ポケットやホルダーからスマホを取り出した後、正しい方位が表示されるまでにタイムラグが有る時がある。
このあたりは要注意だ。
尾根がはっきりしていると遭難しにくいと書いたが、方位を誤認し、尾根から下る谷を間違えてしまえばやはり遭難になる。
従って、紙の地図とコンパスは必ず携行する事。加えて、行動中は常に周りの景観を自分の目でよく観察して自分の位置を失わないようにする事。
これは、例えGPSを持っていても同じだ。
さて、もし道に迷ってしまったらどうなるか?
...こうなる。
この動画のケースでは道に迷った挙げ句谷に降りてしまい、滝の上部に出て行動不能になったとのこと。
山の地形に慣れていない方は”谷に降りて沢沿いに下っていけば里に出られる”と考えてしまうようだが、山の中の沢にはいくつもの落差がある所があり、滝になっている。
滝の上部の沢は切れ込んでいる事が多く、下ることが出来ない地形が多い。
さらに、雪山になると天候が良く尾根が明確に見えていたはずの、このような場合にも道迷い遭難は起きている。
上記ふたつの動画供に救助は成功しているが、これは天候が良かったからに他ならない。不運が重なり荒天が続いていた場合には、救助活動が出来ない場合もありえる事を知っておこう。
「山にでも登ってみようかな?」と思ったら、先ずはすぐにGPSアプリを入れて、家の近くを歩いてみて操作を覚えておこう。
記録したログは後日でアプリで確認できる。写真だけでなくこうしたGPSの記録も、後で見直すと良い思い出になるはずだ。
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今日の一曲
道迷いの話を聞くと「迷った」と気がついた時にはもうどちらに行ったら良いのかわからなくなっているそうだ。そんな時”Save Me!”なんて叫ぶだけじゃどうにもならんだろうねぇ。まずはパニックにならない事。
「Save Me」Queen
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
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私のもう一つのブログ「50歳からの単独行」も、是非御覧ください。
50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
こちらからどうぞ↓
https://tomo1961.hatenadiary.jp/