今回は「5S」の最終回。
「その19」以前が未読の方は先ずは一つ前の以下の記事から。
前回の記事で5Sや3Sの構造と手順、導入時に社内で発生する現象などについて書いた。
さらにある一定以上の期間をかけて展開する事が重要だということも強調したつもりだ。
「整理」,「整頓」,「清掃」という3Sの部分だけやっただけでも、正しく展開して全社活動になっていれば、1〜2年程度の比較的短期間で期待以上の成果が出てくるはずだ。
だから、最初に書いたように、3Sや5S関わる都市伝説的なネガティブな情報の殆どは間違いである、と、あらためて断定させていただく。
今回は3Sに続く、わかっていない人達にとってはとても難解な「清潔」と「しつけ」のステップについて解説してゆく。
さて、このブログのいつものやり方で、吊るしで得られる情報は事前に他から得てきてほしい。
但し前回書いたように、このWikipediaに書かれている内容には大きな間違いはある。
では、「清潔」と「しつけ」について、先ずそれぞれ”何をいいたいのか?”について簡単に説明した後解説してゆこう。
・「5S」という手法の導入[前前回]
・手法としての5S(3S)[前回]
整理,整頓,清掃
・職場文化を改革する[本記事]
清潔,躾
・職場文化を改革する「清潔」,「しつけ」
このフェーズに入ってくると、社員から様々な疑問が上がってくる。
真剣に、真面目に考えている人程疑問が湧き出てくるが、無知や中途半端な上司や経営者はうまく説明できないから、ここで揉める事になる。
揉めても適当に論破して終わりにしてしまうと不満、不信になってしまい、それで5S展開は終わるか、又は形骸化して漫然と続けるだけになる。
疑問とは、要は「清潔」とは一体どういう事を言っているのか?何を求めているのか?具体的に何をやることなのか?「しつけ」とは何だ?というところだ。
確かに「清潔」とか「しつけ」なんて言われても、わかりにくいのは事実だね。
このフェーズの目的は、これまでしっかりやってきた「整理」,「整頓」,「清掃」を定着させて、新たなロスが発生しないように予防することと、そしてそれをさらに職場文化として活動を定着するステップだ。
・清潔とは
「清潔」という単語が一般的に意味することはこの際少し忘れてほしい。
例えば設備など、どうしても油が流れ出してくるケースの場合、流れ出た油を清掃する事は当然だろう。
だがそれに留まらず、そもそもその油は何故出てくるのか?を確認し原因を潰す。
潰しても完全に防止できないなら、どの程度の期間放置すると目立つレベルになるのかを調べて、定期清掃のチェックシートや設備点検表に、その項目と清掃間隔を追加し、汚れになってしまうまえに、未然に清掃してしまう、などの方法だ。
オフィスの仕事でも、毎回事が起こると、AさんとBが長々と論議している、というような場面では、その業務の内容を以下のように3Sし、
整理:その業務を最小単位のタスクに分けて一覧にした上で、不要なタスクがあれば廃止する。
整頓:残った必要なタスクを明らかにして、担当なり部署なりにきちんと割り当てなおす。
清掃:常に同じ様に処理できるように、標準化して文書化しておく
そして職場全体を見渡して類似業務を同様に3Sし、それぞれ根本要因まで対策して再発を防止しておく。
という事になる。
従って「清潔」とは、個別案件ではなく職場全体の予防処置、水平展開、無駄の排除などを行う、ということになる。
・しつけとは
これも「しつけ」という単語が一般的に意味することはこの際少し忘れる。
「しつけ」フェーズで達成すべきは、職場メンバー全員が、社員全員が、これまで展開してきた「整理」,「整頓」,「清掃」,「清潔」でやってきた事が定着する、させるステップだ。
大昔の5Sの本には、この「しつけ」フェーズで「うまく叱るテクニック」みたいな解説があったりするが、「叱る」は今の現代に生きる私達から見るとアホくさいし、叱るという行為はパワハラと見分けがつかないので、絶対にやらないようにしなければいけない。
今だと「説明」と言う事になるだろう。
このステップまで来たら、職場間で競争させるのもいい。
但し、くれぐれも「明るい競争」になるように、経営者や事務局が娯楽性を盛り込むなど工夫をこらしてうまく仕向けなければ、本来業務で互いに協調しなければならない職場同士が、喧々諤々の競争をするようになってしまっては本末転倒だ。
また、長年活動していると、どうしても緩む部門が出てくるので、経営者や事務局による定期的な見回りやランク付けなどのイベントを実施する事によって、いわゆる一定レベル以上の「活性度」を維持する。
本来「しつけ」フェーズの大きな目的の一つは「定着」だ。
「定着」はゆくゆくその組織の「文化」になり、企業の底力になり、これこそが5S活動の最終到達目標と言ってもいいだろう。
ここまで読んでいただいて、おそらくうまく行っている5S活動のもとにいる方でも、5Sの構造がわかっていなかった方も多かったのではないか?
こう言ったことを身を持って知るには、初期からの5Sの導入活動に参加しなければならないが、5S活動が良い組織にいる人は、導入が済んでいるし、うまく行っていない組織は導入が失敗しているので、なかなか経験ができない。
これが、日本企業で5Sが廃れてきた理由だと思う。
さて、5Sについては以上になるが、安全=Safetyを加えた6S活動としている所も多い。
安全は絶対に必要な事項だから、5Sの展開を推し進める経営者や事務局に、展開時の余裕があるのなら、最初から6Sとして展開するのも良いだろう。
5S活動として展開出来なくても、「安全衛生」が常に管理者の基本事項として展開されていれば6S活動にしなくても支障はない、という事になる。
次回は「報・連・相」と「命・解・援」について解説してみたい。
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「三日月」絢香
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