先週「出来る人ってどういう人?」という記事を、いわゆるスキル(Skill)や知識(knowledge)の側面から論議してみた。
”出来る人”というのはいま一つ別の側面からも評価することが可能だ。
今回はそのもう一つの側面から”出来る人”について論議してみたい。
私のブログに出演する人で”Kさん”とか”Sさん”とか命名してその役柄をこなしてくれている人達は、殆どの場合実在しているのだが、今回は架空の方に出演してもらっている。
Aさんはバリバリ仕事をする人で、経営から矢継ぎ早に下りてくる指示やプロジェクトは、とにかく彼が中心になっていれば必ず成功する、問題が起きても必ずうまく処置してしまう、そういう人材だ。
Bさんは、フラフラと社内を歩き回ったり、周りには理解できない理由で出張したり、それ以外は何やら机でボーッとしている事が多い人だ。でも極まれにPCにしがみついて鋭い目でなにか資料を作っている時があるらしいが、目撃した人は少なく、それは半ば都市伝説的に語られている。
そして不思議な事に、彼が役員や事業部長クラスと親しげに話しているところを見た人は多い。
Aさんの”できる”ところは、どんなテーマや問題不具合でも、降ってくる事柄を処理し、こなす事にかけては社内で右に出る者はいない。
一度事が起きれば関係部門との調整も含め上司部下をうまくコントロールして最短で解決してしまうのだ。
一般従業員からの信頼も厚い。
Bさんの”できる”ところは、一般従業員からは全く理解されていない、いつもフラフラしている人、ぼーっと空中を見ている人、という評価が一般的だ。
さて、どちらも出来る人だが、事業への貢献が大きいのは大抵Bさんの場合が多い。
Bさんは、これまでにない商品の企画や、これまでやったことがない改革改善、全く新しい機構の設計と特許取得などを担当している人。
そして彼は、自分が発案し企画した事案が実行に移される頃には、次の新たな何かを求めて、或いはそれを上から求められて調査をスタートさせていて、実行場面には立ち会わない。
Aさんの成果は、その時々の仕事をいかに効率よく処理したか、だが、Bさんが創り出した成果は長期間会社の業績を支える事になる。例え彼が退職した後もだ。
例えば製品の設計構造を工夫した改善で、製造コスト削減が削減されるようなアイディアで、特許を取得し、その構造が適用できる期間中は毎日毎月業績貢献をしている事になるというわけ。
Bさんは必要な情報を集めた後何日も机でぼーっとそれを考えていたのだ。
Aさんの”できる”ところは、
そこにある山に登る事という事になる。
Bさんは、
無い山をつくる
という事になる。
もちろん、組織で仕事をしている以上、Aさん、Bさんのどちらが優秀だという事を決めつける事は出来ないだろう。
どちらも必要な人材だし、その能力や成果は認められるべきだ。
しかしさて、
両人の、それぞれ個人としての未来を考えた場合、一体どちらが幸せに暮らす事が出来るであろうポテンシャルを備えている、と言えるだろうか?
降ってくる仕事をこなして”出来るヤツ”と言われていた人が会社を退職したらどうなるか。
もう彼には降ってくる仕事はない。
おそらくこのAさんのようなタイプの元会社員の多くは目的を失ったまま老人になってゆく。
Bさんのタイプは常に何やら考えているし、そういう癖がついてしまっている。何にでも興味を持ち、それを成果に結びつけようと考える。それは組織に属していようが退職してしまおうが変わろうはずがない。彼は考える事を止めることができない。
さて、これを読んでいただいたあなたは今、どちらのタイプの”出来るヤツ”か?
そしてこれから、どちらの”出来るヤツ”でありたいと考えるだろうか?
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今日の一曲
「Where's The Party」Madonna
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
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私のもう一つのブログ「50歳からの単独行」も、是非御覧ください。
50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
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