ホワイトカラーを含むスタッフ業務では、会社によって程度の違いはあるだろうが、ある程度は仕事の優先順位や取捨選択を社員各自に任されていると思う。
しっかりやっている、真面目にやっているのに評価されないという人は、この優先順位付けや取捨選択を間違えている事が多いのではないか?
いくら一生懸命にやっていても、会社が”その時”に必要としている事をやっていなければ評価されなくても仕方がない。
とは言え、後になってみると、その認められなかった仕事が貢献する場合もあり、残念ながら貢献したのに認められずじまい、という事も実際多いと思う。
私にもあった。
現役時代、構造上の新しい機構をもう一人と共同で設計し評価して標準化し、その後今でも全モデルに使われている構造だ。
あれは1993年の製品から使われたのだから、もう28年も標準機構として使われているが、これに関しては私達二人共全く評価されなかった。
発案当初、二人共これが設計評価に時間がかかることはわかっていたので、ターゲットの製品シリーズの生産設計が動き始めるより2年ほど前から材料選定を始め、実験や試作、評価を続けていたのだが、数年でコロコロ変わる上司たちには、それが何の意味があるのか説明しても理解できなかったらしく、その時私達がやっていた事は「やった方がいい事」と思われていたようだ。
仕事に取り組む時には、それが会社にとって以下の3つのどれに当たるのか理解していた方がいい。
それは本当にやっても良い事なのか?
やるべき事なのか?
それともやった方が良い事なのか?
やってはいけない事
文字通りだが、特に法律に違反しているとか、社内規定に反している事はやってはいけない。
さらに火事や労働災害に繋がる恐れのある、安全ではない事もこれに含まれる。
例えば、有機溶剤の危険性を知らず火気の近くで使用して火災になった、というように”無知”が原因の場合もこれに含めておくべきだろう。
少し外れるかもしれないが、職場で大きい声を出すとか、怒るとか、叱るとか、一人ケタケタ笑い出すとか、誰かを貶めるとか、は誰でもわかる「やってはいけない事」だから、「やってはいけない事」は、やってはいけない。
やるべき事
余程余裕がある企業、組織でない限り、本当にやるべき事は限られていて、自動的に関係者の合意が得られているのが普通だ。だから通常運転の時は「やるべき事」は明確なはずだ。
逆に言えばそれ以外は次の「やった方が良い事」に属し、評価されない仕事ということになってしまう。
やった方が良い事
上記二つに含まれない仕事だ。
これに属す仕事にいちいち目が行ってしまったり、巻き込まれたりして時間を使い、「やるべき事」が出来ていないと、一生懸命にやっているのに評価されない、という事になる。
また、本当は「やるべき事」なのに上長に理解されていないのは、その上長がバカなのか、あなたの説明が不足しているのかのどちらかだ。
私達二人が先行して開発した機構の例では、明らかに上司がバカだったわけだが、何年も経ってから二人で飲んで話したのは、あのとき本部長に説明しておけば良かったな、という反省だった。だから結局これも”説明不足”の方に属してしまう。
よく見たのは、いつも他職場の仕事に手を出しているというようなケースだ。
確かに少し広い視点に立つと ”会社のために俺がやらねば” と思ってしまい手を出しているのだと思う。
しかし、ちゃんと広い視点に立てば、短期的にはその他職場が日程遅れや品質不良を出してしまったとしても、そういった目に見える現象として欠陥が表沙汰になり、その職場自身が確かな対策を打ったり人員補強したりと、根本的な対策、対応をした方が良いはずだ。
だから残念ながら、単に目先の問題に蓋をして見えなくしているだけの ”余計なお世話をしていた”という事になる。
「やった方が良い事」はやってはいけないのだ、というのが結論だ。
しかし、この程度の説明では、組織の経験が浅い若い人は釈然としないのかもしれない。だって頑張ってるんだから評価してよ、という心理だろう。
しかし、会社はあなたに「頑張ってくれていればいいからね」と言っただろうか?そんな事言われてないよね?
会社は「成果をだしてくれ」、「事業に貢献してくれ」と言っているハズだ。企業、組織で仕事をして結果を出すという事はこういう事なのだ。
残念で夢がないかもしれないが、もしあなたが、どうしてもこの事実には迎合できない、というならば自分で会社を興して、そのトップになるしかないな。
そしてトップとして事業を進めていると、その時に初めてこの意味がわかってくるだろう。
=====
今日の一曲
「悲しみの果て」manaka from Little Glee Monster
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
-----
私のもう一つのブログ「50歳からの単独行」も、是非御覧ください。
50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
こちらからどうぞ↓
https://tomo1961.hatenadiary.jp/