今回は「その3」。
「その2」以前が未読の方は先ずは一つ前の以下の記事から。
前前回からの続きとして予告通り、昔から使われていて今でもその欠点を理解した上で活用すればとても有効な「旧QC7つ道具」の各ツールを一つづつその概要を解説している。
毎回書くが「その1」に書いてある通り、教科書に書かれているような事はネット上にいくらでも転がっているので触れない。基礎情報はツールの名称などで検索して得て欲しい。
意外と多いのが「感じでわかるじゃん」とか「ツールや手法なんてものを使うのはロス」というような事を言って手法やツールを理解しない、使わない、いわゆる食いカジリの自称「俺のような技術者に言わせれば」というホラを吹く人だ。
私も現役時代には、技術の”ぎ”にも引っかからない人が、本当に「俺のような技術者に言わせれば」と言ってしまっている場面に遭遇して困った事が何度もある。
今思うと笑える以外のなんでもないのだが、都度押さえ込むのに苦労した。
技術者とは、工学に関して専門的な知識と技術を持っている上で、その実践者である、という事だから、私がここで紹介してゆくような古い手法やツール類は、当然のこととして理解していて、且つその良し悪しも理解の上で、実践の場面で取捨選択して使うことが出来、さらに最新の手法やツール類の知識もある、という状態になければ、技術者を自称するのは滑稽でしかない。
ちなみに、対応する英語はEngineer(エンジニア)だ。但し日本では名称資格にはなっていない。また、職人や技能者とは別の位置づけとなる。
更に付け加えれば、技術者は自分の知らない事をわかっている、というスキルを持っている人でもある。
特性要因図
以上は「その2」で解説済み
以下は次回以降です
グラフ
管理図
散布図
チェックシート
チェックシートは既にみな無意識の内に使っているのではないだろうか?
製造業に働く者にとっては、チェックシートの事で、わざわざ「ツール」の一つを使っているという意識はないだろう。むしろ既に一つの「スキル」とも言える。
当時の教科書では、チェックシートを「記録用」と「点検用」に分類していたので、これに倣って説明する(この分類が必ずしもウマイとは思わないが)。
「記録用」は、生産や不適合の発生状況を調査するために使う。
調べたい項目を縦に、時間や日付を横に記した表体裁にしておけばいいだろう。
「点検用」は点検や検査に使っているアレだ。
点検や品質項目を縦に、号機を横に記した体裁が普通だと思う。
私は技術部門に配属されたばかりの頃、先輩に「必ずチェックシート作ってからやれよ!」とよく言われた。
チェックシートは、これからやる事、やってもらう事が事前に整理出来ていなければ作れない。対象となる事柄と目的が理解できていないと、必要な項目を正しく抽出することが出来ないので、若手の教育にも有効だった。私もしっかり教育されたしね。
さらに、そのチェックシートを使って誰か別の人にデータ収集の作業をやって貰う場合は、左側の縦に記載している項目の順番も重要になる。
実際の作業の場面で、現物を見ていく順にチェックシートの項目も上から記載されていなければ使いにくい。そればかりかチェックし損なって(チェック漏れ)しまう事も考えられるので、順番の設定にも注意と工夫が必要だ。
チェックシートのイメージは、ネットで「QC チェックシート 記録用」で検索すれば多くの画像や解説が引っかかるので確認しておくといい。
ヒストグラム
これは報道でもよく使われるから名前を知らなくても見たことがある人は多いと思う。
取得したデータから、設定した度数毎の分量を「度数分布表」を使って分類し、これを元標にして描く図で、データの分布状況を見やすくするのが目的だ。
各項目毎の多さや強さを見えるようにするのが目的で、経過や推移を見るものではないので、X軸は日付や時間以外となる。但し、例えば曜日毎の多さを見えるようにする場合は曜日を使うのはありだ。
これもチェックシートに並んで頻繁に使うので、同じくスキルと言ってもいいかもしれない。
手書きの時代は、データ数が多い場合など、度数分布表を作成するのに手間と時間がかかったが、今はMS-Excelなどの表計算ソフトに計算式を作っておけば、度数の設定やその変更は簡単だし、度数毎のカウント等を自動化出来るので全く楽だ。
但し、基準から逸脱すれば、度数の設定を意図的にイジる事によりピークを目立たなくするなどの操作が可能だ。
例えば、狭い範囲に集中しているデータがある場合に、度数を細分化して頭を下げて目立たなくするなどの手口だ。
見る側の立場で疑いを感じた場合には、ヒストグラムだけを見て判断せず、度数分布表を見て、表に並んだ数字を確認してみるといい。
度数表のような数字だけの一覧は「見てもわからない」と言ってしっかり見ない人が多いが、縦横にじぃーっと見てゆくと頭の中にイメージを描くことが出来る、そのイメージと来上がっているヒストグラムとを見比べて「どうも合わない」と感じたら、区間の境界値を変えてヒストグラムを書き直してみるといい。
とは言え基本は教科書通りに、データ数や最大最小値から計算式によって境界を決めて作成すべきだ。
次回は「グラフ」から、「その4」に続きます。
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今日の一曲
「TOMORROW」岡本真夜
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
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50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
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