マネジメントは結果責任だ、というのはマネジメントを少しでもかじっていれば知っていることだ。
でもよくあるのが、マネジメントスキルが高い人は、
「人間としても良く出来ていて人格者である」
という勘違いだ。
もちろんそういう偉い人も多いし、できればそう有りたいし、あって欲しいとは思う。
また、マネジメントの対象が人の感情で、一人ひとりの頑張りが直接結果に結びつくような職場では、本当に人間性が良くなければ結果は出ないのだろう。
しかし、私が勤めていたメーカーの製造部門のようなところでは、必ずしもそうとも限らない。
製造部門では殆どの業務が標準化されているし、自動化されている仕事も多い。個人の頑張りというより、想定以上の頑張りはむしろ迷惑で、如何に標準レベルで安定的に仕事をするかを求められる。
一方で、改善策を提案する力や、非正規従業員を管理する能力を求められる、というわけ。
だから製造の一般従業員(正社員)のほとんどは、上司に対しては、いちいち声を掛けてくるとか、やる気を鼓舞してくれるとか、細かく介入してくるよりも、結果だけを客観的に且つ正当に評価しれくれる人の方が人気が高く、出来れば期末と期初の面接以外は管理者とは話などしたくないと思っている人も多いだろう。
だから、人間性はクソだが「人の扱い」を除いた他のマネジメントスキルが突出している人の方が良い結果を出したり、一部のデキル部下からの人望が厚かったり、という現象を何度も目撃した。
例えば私がリーダーだった時の上司、Tさんという部長さんは、ノーベル賞受賞者を排出している国大院卒で、やる事なす事必ず結果につなげるし、表の顔は物腰が柔らかく人当たりもいい。
私もリーダーだった時は、一つ年下の、この優秀なTさんを全面的に信頼していたし、業務の方針について頻繁にすり合わせをしながら仕事を進めていた。
しかし後で思い起こすと、プライベートの事や世間話になると、いつもちょっとめんどくさそうな感じだったな。
最初は何故こんな優秀な人が、長年地方の事業場勤務なのだろう?と疑問に思っていたものだ。
しかし、2年ほど一緒に仕事をしているうちに、この人はどうしようもないクソ人間だ、いやクズ人間だということを知った。
表の人当たりの良さは、全て目標達成のための策略であり、キーマンを籠絡するための武器であり、仕事上の関係がなくなった途端に、廊下ですれ違っても目も合わせないと聞いた。
事業場内の異動で、私達の職場の長になった1年後には部下の女性と不倫を始めてしまい。何度か意見をした人がいたようだが最後まで正されなかった。
私はTさんとは、退職するまで間接的に仕事上の繋がりがあったから、最後まで良い関係だったのだが。
しかし、会社にとってTさんはどうか?と言えば、成果を出す優秀な社員、という事になる。
彼は優秀だがクソ人間だから、本部から離れた地方の事業場においておき、成果だけ吸い上げればいいさ、というわけだ。
会社員時代、いろいろな人と仕事やプライベートで付き合いがあったが、総合すると上記のTさんの様な人は、まぁ部長さんか本部長止まりで、役員クラスにはならないのだろうけど、会社員マネージャーとしては最高なのではないかと思ったりしてしまう。
以上から、マネージャー/管理者として「良い」から「悪」の順に並べると、以下の通りになる。
1の人などほとんどいないから、どうしても3の方が良いと思ってしまうが、相当な例外を除いてそれは、組織が成果を出すためには間違いだろう。
3に該当する「良い人」は、人の意見をよく聞くし、気持ちも汲んでくれる、だから決断できず、嫌われることを恐れ、結果としてマネージャーとして「クソ」だ。
だから、3と4はマネージャーになるべきではない。
1に該当するような人に出会える確率は天文学的に稀だから、現実的にありえる最も良いマネージャーは、残念ながら2番の一択という事になるのだ。
ちなみに、退職時の私の上司は3にズバリ該当している人だった。
マネジメントスキルとは、結果を”良い”事に出来る能力があるのであれば、いわば悪魔に魂を売った人=人間性としてはクソ、それでもマネージャーとしては上なのだ。
さて、今回「マネジメントスキルと優しさ人柄の関係とは」として論議してみた。
私自身が会社員時代に悶々としたテーマだ。
マネージャー/管理者として何が良いのか?の結論をもう一度書いておく。
「マネジメントスキルと人間性の両立が難しいなら、人としてクソでいい」
さて、皆さんはこの結論をどのように受け止めるだろうか?
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