私のような素人がWeb検索だけで得られる情報を元にしているから、もしかしたら以下誤認が入り込んでいる可能性はある。
しかし、だからこそ意図された報道の偏りの存在が、明らかに有るのだ、と断言してもいいのではないか?
香港の天安門事件を記録している「天安門記念館」が閉館した件の報道。
日経の英語サイト:NIKKEI ASIAでは以下のような見出しと供に報道されている。
「Hong Kong's Tiananmen museum forced to close ahead of anniversary(香港の天安門博物館は記念日を前に閉鎖させられた=forced to close)」
しかし同じ日経の日本語版はこうだ。見出しに「一時閉館」という言葉が使われている一方で”させられた”という表現が削除されている。
「一時閉館」は英語で書けば”Temporarily closed”となるが、英語版の記事では、民主派の香港同盟が、インタビューに答える形で、
「再開を求めつつスタッフと来場者の安全を確保するために一時閉鎖(Temporarily closed)にせざるを得ない」
と述べているに過ぎない。
同じ日経の二つの記事の表現の違いに違和感が残る。
他の日本語ソースを見ても「一時閉館」の語は揃って採用されているから、そうなのかな?と納得してしまいそうだ。
では、アメリカを始めとする英語圏ではどう報道されているか確認してみた。
AllSideのMedia Bias Chartで中央に位置するNewsweekの記事では、”Temporarily closed”という単語は使われていない。
そしてわざわざ「香港は、1989 年に北京の天安門広場で行われた抗議活動に対する暴力的な取り締まりに対して、ろうそく集会などのイベントが、中国の領土で最後に行われた場所です」という下りで、香港のこの記念館がどのような位置付けなのかを明記しているほどだ。
他の英語サイトもいくつか確認したがほぼ同様の論調。
その記事の見出しを日本語に訳すとこんな感じでいいだろう「香港の天安門記念館が閉館、イベントライセンスをめぐり中国共産党と対立」
dispute:紛争,対立、という単語が使われているところが日本の報道と大きく異なっているし、その紛争の相手がChinese Communist Party:中国共産党である事を明確に記載しているところも、随分と重さが異なると思わないか?
この違いは大きい。
人による捉え方の違いは有るとしても、日本で日本語の報道を見ている人は「一時的なんだな」というフックが残る。
しかし、実はそれは香港の民主活動家の一人が”いずれ取り返す”という意思を表す手段として述べた一言であったのだが、記事にされた時にはその温度を消されてしまったのだ。
一方英語圏の人々は「中国共産ととの対立によって(力により)閉鎖させられた」と理解するだろう。
そもそも事実を記録している施設が閉鎖に追い込まれたことも問題だが、それは他人事として”彼の国の出来事”と、割り切ることは出来る。
しかし、私達が報道を通じて日常触れている情報が、報道機関によってこれほどまでに”温度調整”されている事実を、あなたはどう捉え、どう考えるだろうか?
さてこのような”記事”だけでなく、伝聞などを含む広い意味の情報というものは、伝え方や、伝える人の意図、そして悪意の有無や、そもそもそれが創作=ウソであったとしても、殆どの場合、伝わっていった先ではそれが真実として解釈されてしまう。
黒色中国さんはご自身のブログの記事で、実体験を元にわかりやすく記事にされている。ぞっとするような実話だ。
ご許可いただけたので以下リンクを貼らせていただく。
全く根も葉もない話なのに、一旦流布し始めてしまうとそれが真実かのように広がってしまったという話だ。
ネットワークやSNSが広がった現代に生きる私達は、身近なところでもこのような事が起きているのだ、という前提で、常に健全な疑いの目をもって生活しなければならないのだ。
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
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