同僚が気になる、ご近所が気になる人へ [No.2021-194]

人の目を気にする、とか、横並びでいたいという人が多い。

最近の極端な例だと「皆がワクチンのキャンセル待ちに並ぶから私も」というのも同じだ。

そういう人達は「人と同じ事をやっていれば安心」という信念なのか？

私にはわからないのだが、そういう人の方が多いように思う。

私が大学受験を受けていた高校生の時の話。

ある私立大学の入試日は、当時の大学入試時期から飛び抜けて早くやっていて、自分の実力からするととても歯が立つような学校ではなかったが、先生の勧めで受験の雰囲気に慣れる為の「予行演習」として受験することになった。

特に当時、私達のような田舎の高校生は、受験旅行で疲れてしまう上に、都会の雰囲気に飲まれてしまって実力が発揮できないケースがあり、先生たちは結構気にしてくれていたのだ。

そしてその受験の最初の科目の時だ、ペーパーが配られ試験開始時間になり、試験官が合図したその瞬間、その教室にいた全員が一斉に、それも飛びつくように試験用紙を返してガツガツに回答を始めた。

私一人が、呆然とその光景を眺めて、そしておもむろに回答しはじめたのだ。

試験前の廊下では、ほぼ全員がブレザーにネクタイの制服で革靴、という出で立ちでタバコを吸っていたのに対し、おそらくそこにいた私一人が詰め襟の学生服に運動靴で、ぽつんとタバコも吸わずただ突っ立って入室が許されるのを待っていた。

ちなみに、私は吸ってはいなかったが、当時高校生が喫煙するのはあたりまえだった。１９７８年頃の事だ。

とにかく、この光景は今でも鮮明に覚えている。

自分が「みんな誰がだれだか見分けがつかねーな」と一人つぶやいたのもはっきりと覚えていて、それは今でも自分の心に刺さったままだ。

そして１７歳の少年は「あーゆヤツラと同じになりたくね〜な」と思ってしまい、自分は人生では本流ではなく傍流を辿ろうと、思ったのかも知れない。実際そうしてきた。

だから私には「同僚が気になる、ご近所が気になる」という気持ちが理解できない、１７歳のあの時に捨ててきたからだと思う。

そして還暦を迎えようとしている今まで、それで得したことは多かったが、損をしたことは一度もなかった。

ここに２００５年のスタンフォード大学卒業式の動画がある。

伝説のスピーチと言われている、スティーブ・ジョブズの話だ。

www.youtube.com

もしゆっくり聞いている時間がない人は、以下に和訳があるので読んでおくといいだろう。

www.nikkei.com

ここで言いたいのは、この有名な「ハングリーであれ。愚か者であれ」という一節ではない。

私が「同僚が気になる、ご近所が気になる人」に言いたい事を、このジョブスのスピーチから以下に抜粋させてもらったので、目を通してもらえればと思う。

「あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマ（独断，偏見的な説や意見。教条主義）にとらわれてはいけないのです、それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです」

英文＝ジョブスが話したそのまま、は以下の通りだ。

"Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma ―which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary."

大切なのは、自分は他人の人生を生きるのではないのだ、という事を忘れないことだ。