以前チームについての記事を書いた。
チームワークを論じる以前にやっておくべき事とはどんな事だ、という論議だ。
しかし、私の経験からみても、リーダーが”チーム”について理解できている事の方が少なかった。
まぁ単に会社の教育が不足しているのであって、その人個人が悪いわけではないが、学ばない人は何十年も同じ事を繰り返し続けて、そういう人に限って記憶力と演説だけはうまかったりするから、役職にしがみ続けることが可能だったりする。
山本五十六の名言にこう言うのがあるのを知っている人は多いだろう。
「やってみせ、
言って聞かせて、
させてみせ、
ほめてやらねば、
人は動かじ」
しかし大体の人はこれを誤解して、部下をただ”叱っている”だけの事がほとんどだ。
何故なら「やってみせ」をやらないから、ただのお説教になっている、というわけ。
本人は過去に実績があるので「やってみせ」は出来ていると誤解しているのだが、ぐちぐちとお説教を受ける側はそんな風には思っていない。
「また始まったな」と、じっと時が過ぎるのを待っているだけだ。
「やってみせ」はその時にやって見せなければ意味を持たない。
私が苦情受付チームのリーダーだった時にこんな事があった。
一人のメンバーに、ある項目について発生率の推移がどうなっているのか、過去のデータを元に分析してほしい、とお願いしてあった。
結果が出たというので一緒に確認すると、分析方法自体は良さそうだったのだが、データを拾った範囲が直近の1ヶ月だけだった。
だから、これでは肝心の”推移”を見たことにならないだろう?と言うと。
「リーダー、そりゃ無理っすよ。今回分析したい項目は予めフラグが入っていないヤツですから、いちいち内容を見て新しくフラグを付けなくちゃならないんで、やりきれないっすよ。月に400件もあるんっすよ。」
いや、だから時間がかかってもやりたいから、彼の仕事を他のメンバーに振って、数日フリーにしてあるんだがな。
と思ったが、彼の”出来ないの一点張り圧力”は最初から結構強かったから、一旦この話を収めておいた。
出来ないと思い込んでしまった人には、出来るよと言葉だけで説得してもほとんど効果はない。
その後、私が3日掛けて直近半年分のデータに今回分析したい項目のフラグを付けなおした。月400件程だから半年分で約2,400件だ。期待できる効果に比べれば大したことはない。
毎日1〜2時間残業して、3日後に最初の段階で彼が作っておいてくれた関数をコピーしてマクロを回していくつかのグラフを描いた。
やってみると、結局関数とマクロを組む方がよほど時間がかかったと思うが、彼はその段階で力尽き、データの内容を確認してフラグを立ててゆくという地味で単純な作業を約400件やったところで力尽きてしまったのだ。
私「出来たよ。半年分の分析。マクロ組んでくれてあったから助かったよ」
彼「えーーー2千件以上見たんっすか?」
私「見たよ。やるしかないもん。5時間位しかかからなかったよ」
彼「へー、やってみりゃ出来るもんなんですね。それなら先期と先先期の分は僕がやってみますヨ」
私「おーたのむわ」
結局、1年半前まで遡ってデータを見直した結果、彼に言わせると「なんとなく変なんですよね」という事で、彼はさらに2年遡って地道にフラグを付け直しグラフ化した。
結果、今まで我々が思い込んでいたトレンドとは別の傾向が見え、この事実を元に検討し大きな改善に繋がったのだ。
あらためて山本五十六の名言を見てみよう。
「やってみせ、
言って聞かせて、
させてみせ、
ほめてやらねば、
人は動かじ」
まぁふつーは、
「言って聞かせて」は誰でもやるだろう。
「させてみせ」だって部下の仕事を確認しない上司なんていないよな。
「ほめてやらねば」は、出来ないクソ上司はいるだろうが、そいつはこの話以前にクソなわけで論外だ。普通の上司は褒めるだろう。
だから、大体にしてみなさん「やってみせ」をやらなすぎだと思う。
手間がかかっても、面倒でも、時間がなくても、しゃくにさわっても、リーダーは「やってみせ」はとても大切だし、なかなか出来ている人はいない。
中には「当たり前の事だから」と敢えてやって見せない人までいる。そんなの手抜きだろ。
とにかく「やってみせ」の効果は絶大だし、そもそもリーダーの重要使命である部下の育成に直接的に繋がる行為なのだからね。
だから、こ山本五十六のこの名言の核は「やってみせ」に集約されているといっても過言ではないのだ。
そして稀にいる「やってみせ」られない=技能がないリーダーは、今すぐにでもリーダーから下ろしてもらうよう、上にお願いするべきだ。
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今日の一曲
「Move On」Little Glee Monster
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