仕事でよく見られるのが「戦っている人」だ。
彼らに聞いてみると「俺は毎朝”よし!勝負だ”と思って出勤してる」とかアホな事を言っていたりする。
果たしてそういうスタンスは正しいのだろうか?
この命題については様々な視点があると思うが、私は現役時代から、仕事で「戦っている人」の多くは「影響行動」をしている、またはしているふりをしているだけで、戦っているわけではないし、ましてや事業に貢献しているわけではない、と見ている。
彼らは、「影響行動」をして、その行動が肯定されれば「勝ち」、否定されれば「負け」と感じているだけだ。
何度も出すが、G・M・ワインバーグの「スーパーエンジニアへの道」の第1章の7ページに書かれているエピソードで、この「影響行動」という言葉が使われている。
4人のITエンジニアがソフトウェアの誤り(おそらくバグ)について、検討している様子だ。
3名は最初から喧々諤々の論議を展開し、それぞれ112回、52回、23回の「影響行動」が観察された。
しかし、それまで黙々とコードをチェックしていた1名が突然叫ぶ「このワードは87AB0022じゃなくて、87AB0023だ」と。
結局バグはこの87AB0022で、そのコードを修正して一件落着となった。
最終的に全体の「影響行動」を実際に結果につながった回数に修正すると、バグを見つけた1名の「影響行動」が1回で、他の3人は全て0回という事になる。
果たして戦っていた3名のその時間は何だったのか?
ワインバーグがこの項で言いたい事は別にあるのだが、私はこれは「戦う社員」がいかに無能か、をわかりやすく例にした良いエピソードだと思っている。
しかし残念ながら、特に日本の企業では「戦っている人」あらため「戦っているふりをしている人」が評価され、役職を得てしまい、戦っているふりが仕事であるような文化を作り上げ、会社や組織のポテンシャルを下げているように思える。
実際にそうなっているところは多いだろう。
彼らは”敵”を作らなければ動くことが出来ない種族だが、今のビジネスシーンは複雑化しており、明確な”敵”が設定できなくなっている事も多い。
そうなると、これからは彼らが企業の敵、ということにもなり得るだろう。
さて、これを読んでいただいた皆さんは、「戦っている人」について、どう考えるだろうか?
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今日の一曲
「20th Century Boy」T-Rex
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