「山岳遭難発生!」と言っても、毎年のことではある。
この二日間の重大な2件について、疑問を感じたので筆を執った。
1件目:5月2日
八ヶ岳連峰の赤岳山頂付近の登山道にて、1名死亡
私の疑問は、何故あの天候の中行動したのか?だ。
2日は里でも低温で、晴れたり曇ったり。風もかなり強かった。
うちから見える仙丈ヶ岳も西駒の将棊の頭も冠雪したんだ。
今年は赤岳の頂上にある「赤岳頂上山荘」はクローズだが、少し降りれば展望荘が営業中だし、行者小屋あたりから出発したのだと思うが、どうして当日「停滞」の決断ができなかったのだろう?
2件目:5月3日
槍ヶ岳山頂付近の登山道から1名滑落し救助、その後同行の2名が不明
前日の2日はかなり気温が下がり荒天で2,000m以上ではどこも降雪があった。
しかし彼らは登った。何故だ?
年齢や経験が不明のだから、これら遭難の原因が無謀によるものだったどうかはわからない。
だから、そもそも私がどうこう言える立場ではないことはわかっているが、もし彼らが経験年数10年程度で且つ中高年だったのなら、無謀と断ぜられるだろう。
山の遊びでは、経験年数が10年程度は全くの初心者だ。
山岳地域で正しい判断ができるには、地形だけでなく地域の特性や天気のクセなど相当な事を知った上で、行動経験の積み重ねが必要となる。
だから山岳のプロでも海外に行けば必ずガイドを雇うわけだ。
例えば中央アルプスでは強い西風が吹く事が多く、桂小場ルートを例にすると、将棊頭山への尾根、そして遭難記念碑から馬の背を経て西駒ヶ岳山頂への長いルート上で、常に正面からまともに風を受け続けながら登ってゆかなければならなず、特に中高年者にはつらい状況になる。
この場合、ルート上の数少ない風よけ地点で休憩を取りながら進むことになり、当然時間がかかってしまう。だいたい+40〜60分余分にかかるだろう。
もう一つの選択しとして、ルートを変えて八合目から濃ヶ池を経て宝剣山荘に向かえばその間は風を受けずに行動することが出来るが、この場合も60分程時間が掛かる。
これは2012年の9月と2016年の10月に、私が実際経験した強風での状況だが、こういう事が想定できないまま無理をして突き進めば体力を消耗して遭難という結果になる。
同じ登山道でも雨が降れば滑るし、残雪があれば足元が不明になるし、風が吹けば体力を消耗するのだから、好天時とは全く別の登山道と言ってもいい。そういう認識をもって歩かなくてはだめだ。
そして命を落としたくなければ、同行者の命を守りたいのなら、「停滞」、「中止」等の決断が出来なければ山を歩くべきではない。
おそらく今ある山が、今生きている私達の余命があるうちに無くなってしまう事はないだろう。だから天候が悪い時は家に帰って、いい天気の時に出直す。ただそれだけのことだ。
一般の登山者は、山で「冒険家」に変貌してはいけない。
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
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50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
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