少し以上大きな会社で長く会社員として勤めていると、その人の能力とは関係なく権利のようなものが拡大することがある。
その上でさらに、会社側から見て成果を残したとされた人の中から極少数が「役職」というモノを得られ、その「役職」に応じた権利も増えてゆく。
公式非公式ごちゃまぜだが、例えばこんな感じだ、
・退職金算定の永年係数が増える
・退職金算定の貢献係数が増える
・退職金算定の役職係数が増える
・再雇用して貰える権利
・再雇用時の給与設定の権利
・仕事を選べる権利
などなど
そして一定数以上の人たちは、この権利を最大限利用する事を考えている。
私から見ていて彼らの姿はとても滑稽だったから、強くその印象が残っている。
例えば、私より4つ上のYさんは、比較的若く部長職を得て退職までいくつかの職場の部長さんを歴任して退職となった。
長く部長職で、複数の事業分野を渡り歩いた方なので、それなりに知識はあり人脈も、本人が自慢するくらいだからあったのだと思う。だから当然定年を期に退職して、高給で他社に行くのだと思っていたのだが、彼は再雇用を選択した。
後で聞いた話だが、再雇用の際には彼はかなりエゲツなかったらしい。
再雇用者はAとBに分かれていて、Bは世間一般的な普通の再雇用形態で、給与は月額でおおよそ1/2くらいになる。
問題はAという制度で、これはほぼ正社員の資格と同じ立場で、評価によっては役職もついて給与も殆ど変わらず、賞与だけはなし、という位置付けだ。
先の部長は、自分の退職が近づくと、その部長という立場を使って自分がAとして再雇用されるように画策し、その一方で担当する職務は一般社員がやっている標準書を見直し改定するポジションを、自分で用意してそこに居着いたのだ。
あまりにもあからさまにやったので、再雇用後1ヶ月としないうちにその中身は皆が知ることになった。
彼は既得権を最大限にすることだけを考えていたのだろう。
だけどよく考えてみると、彼は大きく損をしていると思う。
そうは言っても、専門知識も豊富で実務能力も相当以上の上で部長という立場で百戦錬磨の人だから、別の会社に行って顧問のような立場になったり、それこそコンサルタントのような仕事をすれば、在籍時の倍くらいは稼ぐことが出来るはずだ。
倍稼がないなら、同じ稼ぎを3日/週の稼働で得ることだっていいのに、視野の中に既得権の最大化だけしかなかった、結局彼は井の中の蛙だったのかもしれない、と思った。
とにかく彼は自ら奴隷として働くことを選んだ、というわけだ。
私の3,4年上の人達には、能力が高く最終役職が部長クラスだったのにも関わらず再雇用を選択した人が多かったように思うが、結局現役時代にデキル人と持て囃されても、本人の”視野が狭い”という決定的な欠陥は、どうにもならないのかもしれないな。
まぁ、彼らが奴隷のままでいることが楽しければ、それはそれでいいんだろうケド
わたしとしては、彼らは現役時代には尊敬できる先輩達だったし、世話になったから、そういう人たちが既得権だけを求めて自身を埋もれさせてしまったのは、悲しい。
これを読んでいただいている方々はどう感じるだろうか?
同年代の方はともかく、もし若い方が読んでいるとしたら、ご自身の能力を60代でどう発揮するのかという事と、再雇用の是非について、今のうちから考えてみて欲しい。
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今日の一曲
「Johnny B. Goods」Chuck Berry
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
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