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-55を過ぎてギターを始めた男が早期退職した後の顛末'ing-

「日本総ブラック企業時代」はどんな感じだったのか? [No.2021-080]

 

もう今では、そこそこ歳を食っている方々でも知らない人や、既に忘れてしまった人が増えていると思うが、かつて「日本総ブラック企業時代」という頃があった。もちろんこの名称は私が勝手につけたものだが、当時渦中にいた方々ならこの命名に納得いただけるのではないか。

 

だいたい1980年前後から2015年頃まで続いていたようだ。

 

幸いな事に、私の働いていた会社は2008年か9年の頃に目が覚めて、その後数年であっという間にホワイト企業を名乗っても後ろ指をさされる事はないだろう、という状態にまでなっていった。

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さて、ではその”ブラック企業時代”以前はどういう時代だったのか、だが、私はまだ就職していなかったので聞いた話だが、その話を総合すると一言で言えば”いい時代だった”という感じがぴったりだ。

 

職場で喫煙や飲食は当たり前、製造現場でもくわえタバコで機械を回していても、結果さえ出ていれば何も言われない。もちろん未熟者は出る幕はなかったようだが。

 

サービス残業もそれほど当たり前に横行していたわけでもなく、逆に材料投入が遅れるなどの他の要因で仕事がストップするような事があると、昼間から皆で街に飲みに出たり、桜の季節などはお花見に行ってしまったりは当たり前。

 

外回りがある職場は、出たら少しどこかでサボって来るなんてのは、暗黙の了解だったそうだ。

 

高度経済成長の真っ最中で、作れば売れる、物があれば売れる時代だったんだな。

 

さて、その後「日本総ブラック企業時代」に突入してどうなったのか?

 

仕事の環境は古き良き時代を捨てて、統制管理されるようになってきた。スタッフ部門でも職場内での飲食は禁止、昼の弁当も職場ではダメ。

喫煙も指定場所だけ。という感じだ。

 

ま、ここまでは当たり前の事だ。

 

しかし、同時に残業他仕事の環境は悪化していった。サービス残業は当たり前。超長時間勤務が普通の毎日。力づくの結果重視で中間管理職の多くはパワハラ上司になった。

 

私も新製品開発に関わっていた時には、残業と休出合わせて月に200時間くらいは普通だったが、残業代が出るのは良くて20時間分、悪いとゼロだった。

 

ただ、当時事業場が家の近くだったので、通勤時間は10分以下だった。だから私はそういうところは楽だったんだが、休みの日に呼び出されるのは普通だったね。

若い頃は、全然関係ない事でも「近いから」という理由で呼び出され手伝わされた事もあったな。

 

但し、実際にこういう無茶をしていると人の判断力や発想力はひどく劣化する。

 

仕事の失敗が明らかになり皆で調べて、何故そんな”アホ”な判断をしてしまったのか呆れるような事が原因だったとわかり、一同顔を見合わす、という場面が何度もあった。

それでも、そこを笑い飛ばして”次に行こう!”と明るく引っ張ってくれていた先輩達がいたので、私の場合はそれでもまだ幸運な環境だったのかもしれない。

 

その頃の部長さん達はもっとひどくて、数日寝ないのは当たり前だった。その内のひとりは後で言っていた。

「数日寝ないと人は麻痺してきて何も感じなくなる。仕事もどんどん出来ているように思える。ハイになっている。だが俺の場合は7日目に手のひらに見たことがないようなヒビが入ってきたので怖くなって家に帰った」

だと。

 

この方はその後社内研修で先生をやっていたが、無茶をやるとどうなって、最終的には同僚や会社、そして家庭に迷惑がかかるからダメなんだ、という事をしっかり教えていたそうだ。

 

パワハラ

残業がそういう状態だから、パワハラなんて当たり前だったが、当時のリーダーや経営層は皆腹が据わっていて、怒るだけ怒った後「俺が責任をとってくる」と言って、トップや客先に謝罪に行く。もちろんその時に原因を作った部下は連れて行かない。

 

「全責任は俺がとる」という、今ではドラマでしか観る事が出来ないアレを実際にやっていた人達だった。

 

だから、まぁパワハラという単語もなかったし、パワハラレベルでいじめられても、必ず先輩や同僚、時には後輩まで慰めに来てくれるので、みんなそれ以上には落ち込まずに済んでいたんだと思う。

 

但し、孤立してしまう例はあったようだ。事業場の自殺者は確か3〜4人は知ってるよ。いろいろ理由はあると思うが、会社内のパワハラやいじめが原因ではなかったと聞いているから、現代とは少しきっかけは違ったと思われるが、真相はわからない。

 

もう一つ思うのは、当時は社員に身分の差がなかったから、そういう点でまだ救いがあったんじゃないかな。

 

今みたいに、正規、非正規が分かれていて、非正規の中にも、長期,短期、AだのBだの...ひどいよね。

 

で、その後今のホワイト企業時代が来たんだが、同時に「誰も責任を取らない時代」とも言えるのではないか?

 

企業によっては、「社長以下全員いち社員でございます」という感じで、出る杭が打たれるならまだ良かったが、今は「出る杭も無視される」。暖簾に腕押し、みんな真面目だが誰も真面目でない、という変な文化が出来上がってきたように思うが、どうだろうか?

 

それでも大きな企業はもう「総ホワイト企業化」出来てきたようだから、まだ競争力を持っているのなら、まぁ良い時代と言えるのか?

 

一方で力づくでやってきて、且つ”力づく”というマネジメント手法しか知らない中小は、これからそのナレッジギャップが深い落とし穴になるだろう。

 

ベンチャー(今は”スタートアップ”っていうんだよね)は元気だが、その多くが”無知”による悲惨を体験して消えていっている。

 

今モノをつくって商売をしている業種と、運輸や郵便、不動産、教育、衣料等の生活必需業種を雑駁にまとめる(2016年のデータで)と、ほぼ全業種の半数だ。

それ以外のサービスや飲食が半数であり、今回コロナ禍でダメージを受けた。

 

こう見ると、これからも大企業の一人勝ちがつづき、2元化してそのギャップも開いてゆくのだろう。

 

そうなると、貧富の差もさらに広がっていってしまうのだろうか?

tomo1961.hateblo.jp

 



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今日の一曲
Hotel California」Eagles

Hotel California

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Hotel California

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  • アーティスト:Eagles
  • 発売日: 2017/11/24
  • メディア: CD
 

 

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