ジェイムス・P・ホーガンの「星を継ぐもの」を読んだ。
色々と感想はあるのだが、感じた事の内「問題解決に向かう姿勢」に関して、書いてみたい。
本書では、物語として特定の主人公を設定していないと思うが、問題を解決してゆく主体はヴィクター・ハント博士だ。
現代の技術者や研究者からみても、彼の立ち回り、考え方には学ぶべき事が多いと思う。これらを私なりに四つに分け、以下論議してゆく。
第一に、一見素晴らしく見える解決策やアイディアに安易に身を寄せず、冷静にそれを事実や証拠を基に検証して選択する姿勢。
問題が未解決のまま長期化すると、往々にしてポッと出のアイディアに飛びつきたくなる。”藁にもすがる”というヤツだ。
悩みはじめて最初に出た解決策を選択してしまう、という失敗はよくある事だ。
だが、今見えた、見えているその解決策に性急にすがっても、それがベスト、ベターとは限らない。安易に飛びつくのではなく、ハント氏のように冷静に判断したい。
第二に、複数の仮説が立てられている状況で、それを性急に一つに絞り込まない、という姿勢。
第一に類似するが、複数の仮説を並行して検討してはいけないという事はないのだから、確証が得られるまでは出来る限り一つに絞り込まず、手は多く持っておきたい。
但し、”技術者の読み” は信じたい。ハントも物語の中で、読みやカン、信念を発揮する場面がある。
第三に、意見が対立した相手と言えども、相手の人間性を否定しない姿勢だ。
物語の中でハント博士はダンチェッカー博士と対立する事になる。
最初ダンチェッカーはハントを認めないが、ハントは意見の対立と、その人間を認める認めないは分けて考える人間であり、その人となりで関係者の力を最大化し、最終的な結論への到達を早めることになる。
第四に、目的を忘れず全体の状況を把握し続け結果に導いてゆく姿勢。
最終目的を忘れ好奇心を優先してしまうと、コントロールが崩れてしまうし、結果が遠のいてしまう。
何が起きても冷静に最終目的に対して有効で最短な道を選ぶべきだ。
たったこれだけの解説ではかえって困惑すると思うが、ネタばれ防止という意味もあり、匂わせ止まりにさせていただく。その困惑は本書に目を通していただく事で氷解するだろう。
このブログでは商品や書籍の紹介は最小限にしている。
しかし、これは古い本だが名作なので、技術系の人間であれば一度読んでおいて損はないと思い、一つの記事として紹介させていただいた。
コミック版もあるらしい。
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今日の一曲
「Jupiter」Little Glee Monster
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