今回は「その2」。
「その1」が未読の方は以下のリンクから。
前回の続きとして予告通り「旧QC7つ道具」の各ツールを一つづつその概要を解説してゆく。
但し「その1」でも書いた通り、教科書に書かれているような事はネット上にいくらでも転がっているし、会社の品質部門の職場に行けば、教科書になるような適切な書籍を貸してもらえるだろう。
もちろん、そういった教科書的な解説を先ずは読んでおくことは必須ではあるが、読んだだけでは、ツールとしてこういう物がありますよ、こう使うんですよ、というアプローチによる理解しか出来ない。
通常現場では、不良や問題や仕事のロスが多いが、何から手を付けていいかわからない、というニーズが有るにも関わらず、実際に泥臭く不具合解析に手を染めた事のない先輩や上司、”品質屋”は、
何に困っているか?は、あなたが一番わかっているんですから、考えて適切なツールを自分で選定するんですよ。
なんて間抜けな事を言って門前払いしているのが精々ではないか?
だから、ここでは何を知りたい時に使えるのか?その価値や使いやすさについて、それぞれコメント(思い出?)をつけてゆく事で記事としておくし、著作権の問題が厄介なので図表などを入れられない(し自分で書いてもいいが面倒な)ので、読前読後どちらでも良いが、それぞれのツール名で検索して基本的な情報は得ておいて欲しい。
以下は次回以降です。
チェックシート
ヒストグラム
グラフ
管理図
散布図
パレート図
棒グラフで各項目の数量を左から多い順に表すと同時に、折れ線グラフで各項目の総数に対する割合を積み重ねて表す図だ。
X軸に並べた各項目を、左から重さ順に並べてそれぞれの割合が一目でわかるようになるので、製造現場で発生している不適合品の項目別の影響度を現す、というような目的で使用する事が多い。
複数の不具合が発生していて、データは取ったけれども各項目別に発生数の重みと全体に対する比率を整理してみたい、という場合に使える。
だから、普通はパレート図の左側の項目から対策してゆく事になるだろうし、右側の項目はもしかしたら手を付けずに放っておいても良いのかもしれない。
パレート図を書こうとしてデータ数をまとめている最中に、ある項目が圧倒的に多いという事がわかったのなら(圧倒的に多いなら数えている内にわかるよね)、グラフなんか書く前に手を打つ事を優先して動き始める方が良い。
アホな上司がグラフを書いとけと言うなら、若手や後輩に「勉強だから」と言って書かせてもいいし、後付でもいい。目的は問題を解決する事でグラフを描くことではない。
但し、重要なのは、
そういう事実をパレート図という見えるようにしたモノを前にして、関係する複数の有識者で論議し、同意した上で次の手を考え、決める為に使うツールだということを忘れてはいけない。
あとは細かいこととして、本日[2021.03.18]時点でWikipediaに掲載されている図では、折れ線グラフのプロットが棒グラフの中心に打たれているが、これは間違いで、棒グラフの各棒の右肩の延長上に打つのが正しい。
何故ならば、全体の割合に対する各項目の”重さ”を表すのがパレート図の目的の一つだから、右の軸線上で100%になっていないと見にくくて正しくイメージしにくいからだ。
そして最も左の棒グラフには、X,Yがゼロのポイントから右肩に折れ線グラフの線が入る。これでゼロから100%までの折れ線グラフが通る。
特性要因図
私は特性要因図が実際の問題解決の場面で有効に活用された例を、殆ど知らない。
但し、自分で書くことは多かった。もう何度も何度も書いたね。
特に技術者は、問題にぶつかった時には、タイミングを見てデスクに戻り一息ついて、直面している問題について特性要因図を書いてみることを強くお勧めする。書くと自分の頭の中が整理できる。
どの項目を大骨に充てるか?はそれまでに得ている情報量と仕事の質の良し悪しとそしてあなたの腕の見せ所だ。
問題解決時に特性要因図を書いていて、大骨の項目が抽出できないという事は、まだ得られている事実が不足している、調査が足りない、理解が足りないなどの理由が考えられる。
項目をうまく分類できて大骨がうまく描けたら、後は小骨の項目を抽出するのにはそれほど手間はかからないだろう。
出来上がったら、それまでに調査した事実により寄与度が強いと言える項目に印をつける。
次にあなたがもし、十分な経験を積んだ技術者ならば、その感覚によって寄与しているハズだと思う項目に別の印をつける。
私は経験上、技術者のカンや胸騒ぎみたいなものがズバリ的中した場面を何度も見てきた。だから経験を積んだ技術者に”限って”は、その感覚を大切にして欲しい。
印をつけた項目について、どの様なアクションを打つべきかはケースバイケースだろうが、印をつけみたがそこで行き詰まった、という場合には有識者を集めて作成した図を見せて論議、審議して前に進めよう。
最近の教科書を見ると、特性要因図を目的別に分類して解説しているが、これはわかりやすいと思う。
ただ、Wikipediaを含むいくつかの教科書では、項目の抽出に、ブレインストーミングやなぜなぜを使うのは間違いだ、と解説しているが、何故禁止すべきなのか理解に苦しむ。
私の手元にある1985年のワーキングハンドブックでも、当時はブレインストーミングによる抽出は否定されていないし、項目抽出の方法を制限する必要は無いと思うのだが、最近なにか制限を加えたほうが良い事由があったのだろうか?
長くなるので今回はここまで。
次回は「チェックシート」から続けます。
<コラム>
このテーマを書きはじめて思い出したのだが、こういったツール類を日常的に普通に使っている企業や組織も多い。そういうところに属している方がこの記事を見ると”何だ低レベルな”と感じるかもしれない。
しかし、別の世界ではこういった事に全く触れる事が出来ないまま、ものづくりをしている企業、組織があるのも事実なのだ。
私は現役時代に痛いほど感じていたが、製造業が知力で二分されているこの現状をなんとかしなければ、日本の製造業の未来は明るくはないと思う。
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今日の一曲
「NIPPON」椎名林檎
*本ブログに掲載している広告とリンクを除く全ての写真はtomo1961又はその家族が撮影したものです。
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50歳から再度山に登り始めたお話を小説風に書いています。
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